◆ニューモデル、オリジナルパーツ！第1作目からのキャラクターが再び登場（40点）
B級ぽさが魅力の映画『ワイルド・スピード』。日本車をフィーチャーしたこのカーレース・アクション映画は世界で大ヒットし、『ワイルドスピードX2』『ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT』と続編も作られた。そのシリーズが第一作目からのお馴染みの登場人物達に焦点を当て再びスクリーンに帰って来たのが『ワイルド・スピード MAX（原題：FAST & FURIOUS）』だ。
シリーズ第4作目である本作は時間的には2作目と3作目の間に位置し、第1作目から5年の月日が流れている。1作目の主演で、3作目でカメオ出演したヴィン・ディーゼル扮するドミニク・トレットはオイルタンクのハイジャックを続け、今や世界的に指名手配されている犯罪者となっている。しかし、彼は愛するレティー（ミシェル・ロドリゲス）に自分のせいで彼女が警察に御用になるのを防ぐため、静かに彼女の元を去る。ところが数年後、ドミニクはレッティーが頭を銃で打ち抜かれて殺害されている事を知る。犯人の情報を得るため、デヴィッド・パクという男を探す中で、彼は運命的に現在FBI捜査官ブライアン・オコナー（ポール・ウォーカー）と再会する…。
本作の監督は『TOKYO DRIFT』も監督を務めたジャスティン・リン。彼はハリウッドで需要の少ないアジア系俳優を多く起用する事で知られる映画監督で、傑作『FINISHING THE GAME』や『TOKYO DRIFT』に出演しているサン・カン等ジャスティン・リン組の面々を『ワイルド・スピード MAX』でも見る事が出来る。
第1作目のロブ・コーエン監督作『ワイルドスピード』は『ハート・ブルー』に車を足した様なコテコテなストーリーラインやアニメチックなビジュアルがB級ぽさを強調していた。シリーズ第2作、第3作にもそれはしばしば見受けられたのだが、今回はそれは払拭されている。アニメというよりはハイテクで、今回はメキシコの犯罪組織との関連もあり、物語にはシリアスな雰囲気が顕著に現れている。前3作はコメディの要素も十分にあったが、今回の作品はもうクライムアクションムービーというジャンルにピッタリはまってしまうだろう。
第1作目からの登場人物ではジョーダナ・ブリュースターが再びドミニクの妹ミアに扮し、本作は第一作目の同窓会の様子を呈している。ブライアン、レティー、ドミニクとミア兄妹、そしてドミニクの愛車のその後を知りたい人は観るべき作品かもしれないが、はじめから最後までドキドキしない作品だ。ただジャスティン・リン監督がハリウッドの第一線で活躍し、その映画にアジア系の俳優達を多く登場させる事には大いに意義を感じる作品である。
（岡本太陽）
