なんといっても迫力満点のアクションシーンに度肝を抜かされる。(点数 80点)
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巨額の製作費を投じ、最新のVFXを駆使して作り上げて世界興収100億円を超えるほどの最大ヒットを記録したインド製SFアクション。『ジーンズ 世界は二人のために』のシャンカール監督がメガホンをとり、インド映画界最大のスターであるラジニカーントが一人二役で熱演。
バジー博士(ラジニカーント)は10年の歳月をかけて自身と同じルックスのハイテク・ロボットのチッティ(ラジニカーント)を完成させた。やがて、人間の感情をプログラムされたチッティはバジーの恋人サナに恋心を抱き、二人は親密な仲になってしまう。これに腹を立てたバジーはチッティを分解し、廃棄処分してしまう。悪徳工学博士がチッティの部品を回収し、殺人マシンとして改造されてしまう。チッティはバジーとサナの結婚式場からサナを強引に連れ出して人類に凄まじい攻撃を開始するのであった……。
インド映画ならではの歌とダンスも魅力的でゴキゲンな気分に浸らせてくれるし、『マトリックス』や『スター・ウォーズ』のパロディを取り入れてさらに楽しませてくれる。でも、なんといっても迫力満点のアクションシーンに度肝を抜かされる。
チッティがサナを結婚式場から連れ出した直後に高速道路を舞台にした第一の見せ場が繰り広げられる。追ってくる警察車両をチッティが身につけている超能力で宙に舞わせて豪快にクラッシュする。このパニックに乗じて玉突き事故も続発し、道路は破壊され、大勢の警官隊が銃を撃ちまくっても無数の銃を超能力で奪われたことによってチッティの大量の銃弾炸裂攻撃…という具合に見応え抜群!!
クライマックスではチッティの分身軍団が壮絶な暴れっぷりを発揮するが、これが最大の迫力で描かれているので見応え抜群。分身軍団が合体して巨大ロボットや巨大ロボ大蛇になるなど変化する様子もユニークで印象深く、大人だけでなく子供でも楽しめるようなアイデアも高く評価したい。
最後には、劇中で描かれるようなロボット工学が急速に発達したことによって良いこともあれば、使い方によっては最悪な方向へ繋がることもあるということ教えてくれる。そんなメッセージが込められているのも好印象だ。
あらゆる映画のジャンルを取り入れ、エンターテイメント性を全面に押し出して観る者を存分に楽しませてくれる本作は、ハリウッド作品以上に素晴らしいアクションも描けるということを証明できたのだ。
(佐々木貴之)