◆ローン返済遅滞による取立ては、サラ金取立て以上にハードな残酷さが感じられる(75点)
エリック・ガルシアの原作を映像化したSFサスペンス・アクションで監督は、ミゲル・サポチニク。
人工臓器によって長寿が可能となった近未来。この臓器移植には高額なローン支払いが課せられ、返済が滞ると臓器回収人=レポ・メンが無理矢理に臓器を取り立て、さらには命まで奪っていく。ユニオン社所属のスゴ腕レポ・メンのレミー(ジュード・ロウ)は、人工心臓停止の電気ショック装置のショートによって気絶し、目覚めたときには人工心臓が埋め込まれていた。多額の借金を背負って追われる身となったレミーは、女性債務者べス(アリシー・ブラガ)と出会うのだが……。
本作における人工臓器提供は、医療問題のメリット、デメリットが明確に描かれており、デメリットの面をやや強く押し出している感がある。ローン返済遅滞による取立ては、サラ金取立て以上にハードな残酷さが感じられる。肉体を切り込んで臓器を摘出する描写は少々のグロさを感じさせ、観る者にレポ・メンが非情な存在であることとユニオン社の恐怖を思い知らせる。
サスペンスとアクションもしっかりと盛り込まれており、これがなかなか面白く仕上がっている。まずは、レミーと同僚のジェイク(フォレスト・ウィテカー)が前半ではバディ・ムービーさながらの会話のやりとりで軽く楽しませ、二人で銃をブッ放したりと手荒なやり口で臓器を回収していくというアクション作品らしい見応えのあるシーンが印象深い。だが、レミーが人工臓器を移植されてからは、ジェイクとは追う者、追われる者と敵対関係に逆転してしまう。その後は、レミーとべスの逃避行とユニオン社からの追跡劇がストーリーを盛り上げる。ユニオン社のビルに潜入したレミーと社員たちとの格闘アクションが後半の大きな見せ場であり、クライマックスでは衝撃的な真実が明かされる。
(佐々木貴之)