レッド・バロン - 福本次郎

現代では考えられない状況に少し憧れすら感じた。(点数 50点)


(C) 2008 NIAMA-FILM GMBH

“スポーツであって虐殺ではない”と、敵戦闘機に銃弾を浴びせても
パイロットは助けてやろうする主人公。彼にとって戦場とはあくまで
己の勇気と技量を量る場で、戦闘は名誉と名誉がぶつかり合う決闘な
のだ。敵であっても優秀なパイロットには友情を示し、戦死すれば悼
む。冒頭、敵パイロットの葬儀に上空から弔いの花束を落としていく
シーンには爽快なダンディズムすら覚えた。戦争がまだ男のロマンを
かきたてた時代、映画は、馬を飛行機に乗り換え槍を操縦かんに持ち
替えた“20世紀の騎士”たちの最後の輝きを描く。

第一次世界大戦、独軍パイロットのリヒトホーフェンは撃墜王として
連合国側から恐れられた存在で、皇帝から勲章をもらいドイツの軍神
と崇められるようになる。一方で看護婦・ケイトに惹かれていく。

リヒトホーフェンが操る真っ赤な複葉機は敵味方双方から尊敬と畏怖
の対象として見られている。敵は彼を撃墜して名を上げようとする。
味方は彼と共に闘うことで高揚感を得る。パイロットたちはそんな命
がけのゲームがもたらすスリルを楽しんでいるかのよう。そこには悲
惨さは微塵もなく、貴族趣味ともいえるほどの優雅さだ。さらに中立
地帯に不時着した時には敵空軍の好敵手のブラウンと握手までする。

その、交戦域を離れれば同じ大空の夢を追う同志という感覚が当時の
貴族・エリートたちのメンタリティなのか、現代では考えられない状
況に少し憧れすら感じた。

福本次郎

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