ワイヤーアクションの新しい境地、中国映画がまだまだアクションの分野で発展する可能性を実感させてくれる。(点数 50点)
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武術の達人たちが宙を舞い壁を駆ける。彼らの重力に逆らった動きに
同調するようにカメラも縦横無尽に空間を切り取る。そのめくるめく
感覚はワイヤーアクションの新しい境地、中国映画がまだまだアクシ
ョンの分野で発展する可能性を実感させてくれる。さらにヒロインが
放つ剣の一撃は竹のようにしなり相手の急所に突き刺さる。特撮技術
を駆使した格闘シーンはリアリティには程遠いが、一種の様式美すら
感じさせる幽玄の世界を構築している。
【ネタバレ注意】
手に入れた者は武術界の覇者になるといわれる達磨のミイラを手に入
れんとする組織の女刺客・細雨は突然姿を消し、顔を整形して曾静と
名乗る。やがて彼女は素性を隠し街の配達人・阿生と結婚する。
彼女を追う組織は曾静こそ細雨と見抜き、次々と3人の殺し屋を送りこ
んでくる。中でも針を武器にする男との死闘は、まさに武侠映画の真
骨頂。目にも止まらぬ剣さばきと、予想もしないタイミングで飛び出
す仕込み針の応酬はしばし時間を忘れてしまう。一方で曾静の過去に
感づきながらも平静を装う阿生にも、なんらかの事情がほの見えてく
る。まあ、チョン・ウソンが演じているからただの不器用な男で終わ
るはずはないのだが。。。
その後も、曾静に襲い掛かる殺し屋たちが雇い主である組織のボスと
対立したり、ボスにも意外な事実が隠されていたりと、話は二転三転
する。このあたりは少し整理がつかずエピソードが中途半端だった。
(福本次郎)