レア・エクスポーツ - 福本次郎

真面目なシーンなのにおかしくてコミカルなはずがスベる、どこか笑いの的を絞らせない変化球に幻惑されている気分にさせてくれる。(点数 60点)


(C)CINET POMOR FILM LOVE STREAMS AGNES B. PRODUCTIONS DAVAJ FILM 2010

羊のような大きく曲がった角を持つ怪物が悪い子供の尻を叩く。本来
の姿が完全に忘れられ、今ではすっかりクリスマスにプレゼントを配
るおじさんのアイコンが定着したサンタクロース。映画は、サンタの
故郷・氷に閉ざされたフィンランドの奥地に残るサンタ伝説に、ホラ
ーと冒険の要素を加える。その奇想は独特のユーモアを交えながら、
真面目なシーンなのにおかしくてコミカルなはずがスベる、どこか笑
いの的を絞らせない変化球に幻惑されている気分にさせてくれる。

【ネタバレ注意】

国境付近の鉱山で氷詰めのサンタクロースの“本尊”が発見され、多
国籍企業が掘り起こす。ふもとの村に住む少年・ピエタリはサンタク
ロースの起源を調べるうちに恐ろしい予感にとらわれる。

一方で、ピエタリの父は狼の罠にはまった薄汚れた全裸の老人を収容
していたが、人間の外見をしていても思考が読めず邪気をまき散らす
老人に手を焼いている。やがて同じ風体の老人が数百人で村を襲って
くるのだが、その様子はまるでゾンビ。しかし、彼らこそが現代のわ
れわれが目にしているトナカイのそりに乗った赤い服の男の正体、資
本主義文明における消費のシンボルの虚像をはがし鮮やかな文明批判
になっている。

商業主義とは一線を画した素朴な人々の心にも小さな欲望があるのを
否定せず、それが「世界中の子供たちのため」の方向に向いていると
ころに好感が持てた。

福本次郎

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