限りなく実話に近い問題作(70点)
擬似ドキュメンタリーの形だが、限りなく実話に近い問題作だ。イラクで起きた米兵によるレイプ・殺害事件を軸に、戦場で狂っていく兵士と軍隊の不条理を描いていく。特筆なのは、その表現技法。米兵の一人がプライベート・フィルムで撮影する映像を中心に、携帯の動画、イラクと米国を結ぶTV電話、ユーチューブの映像など、一般人が容易に手にできる主観映像情報が満載で、戦争の実態や米兵が起こした事件と共に、映像メディアの功罪にも言及している。リダクテッドとは“編集済み”の意味。映像技巧派のデ・パルマらしいやり方で報道の意味をも問い直す社会派映画と言えよう。
(渡まち子)