父子関係の再生がっかりと描かれていたのはよかった。(点数 80点)
(C)DreamWorks II Distribution Co. LLC
新年最初の映画を見ました。『リアル・スティール』です。
感動系映画として宣伝されていましたが、
ロボットの戦闘シーンの迫力が印象的でした。
そして、父子関係の再生がっかりと描かれていたのはよかった。
「アトム」というシャドー(物真似)機能を備えたロボット。
真似るはのは人間の子供も同じ。
自分の親の行動を真似しながら学び、親を目標にモデリングするのが
「成長する」ということ。
ですから、このアトムはロボットというよりも、
人間に近い存在として描かれます。
しかし、マックスの父親チャーリーは、徹底したダメ親父で、
息子マックスにとって、真似たい存在では全くありません。
とにかくダメ親父であるチャーリーは、
マックスとアトムによって、
「ボクサー」として必死に頑張っていた自分を思い出します。
ボクサーとして輝いていた自分。
それを取り戻した瞬間に、チャーリーはマックスにとって、
「尊敬の対象」=「本当の父親」になるのですが、
そのシーンが感動的です。
それがどのような形で描かれているかは、見てのお楽しみ。
父親が一生懸命に頑張っている姿を子供に見せる。
子供が父親に尊敬されるためには絶対に必要なことです。
また、親子で共通の目的を持ち、共同の作業をして、一緒の時間を過ごす。
これは、親子関係を密にする重要なコツです。
マックスとチャーリー親子は、「ロボット・ボクシング」を勝ち進む
という共同作業を通して、親密になっていくのです。
それにしても、格闘シーンの盛り上げ方、
クライマックスへのテンポアップ、人物描写など
非常に卒なく作られています。
悪く言えば後半の展開が予想通りで、サプライズがない点は
少々物足りない気がしました。
手堅く楽しめる娯楽映画と言えるでしょう。
(樺沢 紫苑)