コミカルな演出とエスプリのきいたセリフで最後までテンポよく楽しませてくれる作品だった。 (点数 60点)
(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
テーブルの下で足を絡ませ、磨き上げた靴のつま先で囁きあう男と女。
ディナーの後の愉しみを先取りするかのようなエロティックなショッ
トの直後、冴えないスニーカーを履いた男の足が映される。もちろん
会話は弾まず女は退屈している。そんな、男の魅力磨きを怠った夫を
見限った妻の苛立ちを足元のみで表現する導入部はセクシーなほど洗
練され、たちまち物語の中に引き込んでくれる。
【ネタバレ注意】
妻のエミリーに離婚を切り出されたキャルがバーで飲んだくれている
と、ナンパ師のジェイコブに声をかけられる。キャルはイケてるオヤ
ジを目指すべくジェイコブの指南を受け、センスを改造してもらう。
変身したキャルは次々と女を口説き一人暮らしの寂しさを埋めようと
するが、エミリーへの未練は絶ち難く胸の空白は満たされない。一方
でジェイコブは司法研修生のハンナに直感を覚える。さらに息子のロ
ビーがベビーシッターのジェシカに熱を上げるが、なぜかジェシカは
キャルに憧れている。
キャルを取り巻く人間関係は複雑に絡み合うが、みなフリーセックス
を謳歌しながらも魂のレベルで惹きつけ合う異性を探し求めている。
人生における幸福とは物質的な豊かさではない、愛情と信頼で結ばれ
た相手を見つけることだという手垢のついたテーマながら、巧みな伏
線と先の読めない展開、コミカルな演出とエスプリのきいたセリフで
最後までテンポよく楽しませてくれる作品だった。
(福本次郎)