ラッシュアワー3 - 福本次郎

◆お調子者の警官はパリに舞台を移してもその態度は改まらず、むしろ典型的な米国人としてフランス人から嫌われる役。もし世界中で嫌われているブッシュ流帝国主義の象徴、顰蹙の対象として描いているのなら、それは成功だ。(40点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 お調子者の黒人警官を演じるクリス・タッカーの早口と傲慢さはもはや見飽きた。パリに舞台を移してもその態度は改まらず、むしろ典型的な米国人としてフランス人から嫌われる役。そのキャラが、もし世界中で嫌われているブッシュ流帝国主義の象徴、顰蹙の対象として描いているのなら、その試みは成功している。何でも自分のやり方がいちばんと、迷惑を顧みずに相手の領域に土足で踏み込むという自己流を貫くが、その結果には責任を持たない。それでいて反省も謝罪もナシ。この映画の客層の米国人がその皮肉に気付くかは疑問だが。

 中国マフィア撲滅のシンポジウム席上で中国大使が狙撃される。犯人はリーの義兄弟・ケンジという男。マフィアの秘密はパリにあると知ったリーとカーターは早速現地に飛ぶ。そこでジュヌヴィエーヴというダンサーの命を助ける。

 シャンゼリゼ、エッフェル塔といったパリ中心部観光名所で繰り広げられるアクションはスリリング。とくにタクシーとバイクのチェイスはスピードや銃撃に頼らず、小道具やスタントのアイデアが満載で、この映画で一番楽しめる。しかし、反米派だったタクシー運転手がいつの間にか親米に転じ、最後にはリーとカーターの命を救うというのは興ざめ。あくまで米国人は嫌いだが、正義のために引き金を引いたというオチにしてほしかった。

 リーとケンジはマフィアのリストをめぐってエッフェル塔で決闘するのだが、剣から拳とその武器を変え、展望レストランから幅の狭い梁の上と防護ネットという動きの不自由な場所に移る。そのアクションにはジャッキー、真田ともに全盛期の切れ味はないのが悲しい。観客に考える暇を与えないノンストップアクション映画にする予定だったのが、肝心の俳優が息切れしてしまっているのだ。その分をクリス・タッカーが笑いで補うという構成もイマイチ煮えきらず、にぎやかだが奥行きのない作品となった。

福本次郎

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