◆スピーディーでテンポもすこぶる良い(75点)
2000年に公開された和製フルデジタル・アニメ映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を、ジェット・リー主演の大ヒット作『キス・オブ・ザ・ドラゴン』(01)を撮ったフランス人監督クリス・ナオンが実写化した復讐系アクション・ホラー。
1970年の日本。セーラー服姿で黒いおさげ髪、黒筒に刀を忍ばせている十六歳のサヤ(チョン・ジヒョン)は父をオニというヴァンパイア種族に殺され、その復讐としてオニの起源であるオニゲン(小雪)を倒すべくオニ撲滅組織カウンシルの協力を得て日々オニと戦っている。カウンシルのリーダーであるマイケル(リーアム・カニンガム)はサヤを基地内の高校に入学させるが……。
見所はサヤ役のチョン・ジヒョンが魅せつける数々のアクションだ。ジヒョンにとってアクションは本作が初体験となるが、これが初めてとは思えないほど完璧にこなせており、見劣りすることや違和感を感じさせない。これには、アクション監督コーリー・ユンの大きなバックアップがあったからこそだと断言できる。
序盤からサヤのパワフルな活躍がしっかりと描かれ、観る者を驚愕させる。高校に潜入したサヤが同じクラスになる女子高生アリス(アリソン・ミラー) を、女子生徒に化けたオニに襲われたところを救出するシーンで凄まじい刀裁きを披露する。次は、本作の大きな売り物であるオニ軍団百人斬りで、ここでアクション映画の醍醐味が最大限に発揮される。サヤがバタバタとオニたちを斬りつけ、アクロバティックな動作まで披露して迫力満点の痛快なアクションシーンとして盛り上がる。目まぐるしいカメラワークやスローモーションを巧妙に交えたりと、魅せ方に工夫が施されていることによって面白さが一段と増し、見応えのあるアクション描写へと仕上がった。しかもスピーディーでテンポもすこぶる良いため、一気に楽しめる。
オニ百人斬り後もサヤのアクションをはじめ、サヤの父の家臣で実質的なサヤの育ての親であるカトウ(倉田保昭)のハードなアクションが観られたりという具合にとことん楽しませてくれる。
クライマックスはサヤとオニゲンの最終決戦。これが意外とあっさりとした感じで少々物足りない。お互いが激しくぶつかり合うような壮絶なバトルが描けていれば最高の出来栄えだっただろう。それでも全体を通してかなり面白い作品として仕上がっているため、合格点は遥かに達していると言える。
アクション映画ファンには嬉しいダイナミックな爆破シーンやオニのクリーチャー化、CG丸わかりの流血、外国映画ならではの日本の風景描写といったビジュアル面でも強烈なインパクトを与えてくれる。中でもケレン味を存分に発揮させたセットや照明は漫画チックであり、復讐をテーマにしたB級娯楽アクション映画の王道を踏襲した作品内容と絶妙にマッチしている。
(佐々木貴之)