次に何が飛び出すかわからない意外性と迫真のリアリティに背筋が凍るよう。(点数 50点)
(C) 2010 STUDIOCANAL & STRIKE ENTERTAINMENT
悪魔などいないとカメラの前で断言するエクソシスト。悪魔払いを必
要としている人のために実在するフリをするが、実際は巧妙に仕掛け
られた効果音や十字架から出る煙など、すべてがトリックであると種
を明かす。映画はエクソシズムの安易な流行に危惧を覚える聖職者が、
インチキのからくりを自ら暴露し、その過程を記録するカメラマンを
従えて悪魔払いを行ううちに、衝撃の真実に出会うまでを追う。
【ネタバレ注意】
これまで何度も悪魔払いを成功させてきたコットン牧師は、欺瞞に耐
えられずエクソシズムの嘘を公表する決意をし、悪魔払いにカメラク
ルーを同行させ、悪魔が憑依した少女・ネルに儀式を施す。
コットンはネルの徘徊をあくまで心理的なものと断定、医師に見せよ
うとする。その後もネルの奇異な行動に悩まされながらも、一方で彼
女が妊娠していることをコットンは知る。彼はネルの父・ルイスに疑
いの目を向けるが、ルイスはもちろん断固として近親相姦を否定する。
さらに兄のケイレブもどこか怪しい。もはや悪魔の存在自体よりも、
この家と家族の心に潜む悪意のほうが恐ろしく思えてくる。
命の危険を感じたカメラクルーたちは怖気づくが、コットンは最後ま
で顛末を見届けようとする。ドキュメンタリー風の長いカットは緊張
感に満ち溢れ、次に何が飛び出すかわからない意外性と迫真のリアリ
ティに背筋が凍るよう。この手法もいささか飽きたが、低予算で作れ
るがゆえにまだまだ表現の可能性を秘めているようだ。
(福本次郎)