ライアの祈り - 小梶勝男

青森県八戸市を舞台に、縄文時代へのロマンと中年男女の恋愛を描く。八戸市の魅力が存分に描かれ、胸を打つ場面もあったが、様々な要素が一つに焦点を結ばないのが残念(点数 62点)


(C)2015「ライアの祈り」製作委員会 (C)森沢明夫/小学館

 「津軽百年食堂」や「ふしぎな岬の物語」の原作小説を書いた森沢明夫の同名小説の映画化だ。
やはり同じように、舞台となる場所の地域性が強調されたご当地映画になっている。監督は「殺人者KILLER OF PARAISO」の黒川浩行。
 

今回の舞台は青森県八戸市。蕪島や陸奥湊駅前朝市、ハーモニカ横丁、そして八戸の様々な飲食店など、地元の名所や店、風景などが、必然性が薄いと思われるほど、たくさん出てくる。
それを見ているだけで楽しいと言えば楽しい。
特に地元の人などは、知っている場所が次々と出てくるので、たまらないだろう。
ストーリーは、中年男女の恋愛が軸で、2人がこのロケーションの中でデートを重ねていく。
そこに、縄文時代や東日本大震災が絡んでくるのが、不思議な味になっている。
 
子供が産めないことが原因で離婚したアラフォーの桃子(鈴木杏樹)は、勤務先の後輩(武田梨奈)に誘われて地酒パーティーに参加し、縄文時代の遺跡を発掘する考古学研究員(宇梶剛士)に出会う。
朴訥な人柄で誰からも愛され、クマゴロウとあだ名で呼ばれる彼は、縄文時代に夢中だった。一方の桃子も、縄文時代のような風景を、夢でよく見ていた。
不思議な縁を感じた2人はデートを重ね、ますます縄文時代にのめりこんでいく。
 
特に何か大きなドラマがあるわけではない。
桃子とクマゴロウがデートする様子が、延々と続く。
だが、それが退屈なわけではない。
2人が行く先々の場所や店を見ているのが楽しい。
俳優ではないと思われる地元の人々も数多く登場する。
八戸の街の魅力がきちんと紹介されている。
一方で、子供が産めないことで恋愛に臆病になる桃子の気持ちも丁寧に描かれ、胸を打つ。
だが、それらと縄文時代へのロマンチックな思いが、かみ合っているようで、今一つかみ合っていない。
どれもきちんと描かれているのに、中心がないように思えたのである。
 
途中で、東日本大震災の話が出てくる。唐突だが、震災については、唐突さが気にならない。
今の東北にとって、震災はどんな映画であっても避けては通れない出来事だからだろう。
武田梨奈の空手の演武も見ることができる。
これも唐突だが、見られて良かったと思う。
 
結局、縄文時代の人々が幸せだったという話と、東日本大震災を乗り越えなければならない今の日本と、子供が産めない桃子の苦悩と、中年男女の恋愛とが、絡み合っているようで、何となく焦点を結ばないまま、映画は終わってしまう。
心に響く場面もあるが、全体として散漫な印象になってしまったのは残念だった。

小梶勝男

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