◆低俗で道徳観のカケラもない究極のおバカ映画(45点)
地球に衝突しようとする小惑星ショーン・コネリーを破壊するべく立ち向かう、選ばれし七人のスペシャリストと一体のオカマロボの姿を描いたクレイ・アニメ・コメディー。
タイトルのモトリー・クルーとは、大物ロックバンドの名称であり、メンバーが粘土製人形となって劇中に登場し、本人たちも声の出演を果たしている。また、『ホステル』二部作でお馴染みのイーライ・ロス監督も声優を務めている。
『アルマゲドン』をメインにディザスター作品のパロディーが盛り込まれており、そこに過激かつストレートな下ネタ系ギャグがこれでもかと言わんばかりに連発される。とにかく悪ノリ爆発でやりすぎているのである。ここまで過激にやりきれたのはクレイアニメだからこそであり、実写でやられるとかなりキツいものもある。誠に低俗で道徳観のカケラもない究極のおバカ映画である。
おバカに徹していることは十分にわかるが、肝心な笑いの要素が消化不良状態となっていることが残念だ。エロ・グロ・汚いの三拍子が揃った下ネタは、新味がない上にあまり捻りが利いていないがために爆笑できるほどの面白さが味わえない。本作と同じような過激なブラックユーモアを追求した作品は多く存在し、心の底から笑えて面白い作品は結構存在するので、本作のような平凡な下ネタ満載ギャグではビクともしないのである。それでも、過激なおバカ映画は好きではあるものの滅多に観ないという方にとっては、下ネタてんこもりに驚かされ、そこそこ笑えるかも知れない。笑えるか否かは別として、掘り出し物、珍作としては観る価値はありかもだ。
本国アメリカでは上映禁止となったいわく付きの作品。日本では、レイトショーのみの公開で公開日の約一ヵ月後にDVDがリリースされるとのこと。スクリーンで観たいという日本のおバカ映画ファンにとっては、劇場公開は嬉しいこと間違いなしだろう。
(佐々木貴之)