ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 - 前田有一

◆映像よりも書物向きの内容ではないか(30点)

 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の原作は、雑誌の海外ミステリランキングなどでも絶賛された作品で、全世界1500万部以上を売り上げたといわれるベストセラーである。3部作の第一部を映画化した本作は、本国スウェーデンや同時公開されたデンマークで期待通りの大ヒットを記録した。

 雑誌「ミレニアム」で、大物実業家のヴェンネルストレムの不正を告発した編集長ミカエル・ブルムクヴィスト(ミカエル・ニクヴィスト)は、しかし名誉毀損訴訟の反撃に敗れ、編集部を去った。そんな彼に声をかけてきたのがこれまた財界の大物ヘンリック・ヴァンゲル(スヴェン=ベルティル・タウベ)。有能な調査員リスベット(ノオミ・ラパス)のレポートによりミカエルが信頼できると踏んだ彼は、ある重要な私的調査を依頼するつもりだった。

 離れ小島を所有する大金持ちのお屋敷に呼ばれ、極秘の調査を依頼される。どんよりとした映像の効果もあって、ミステリファンとしてはそそられるオープニングである。そこから次々提示される解明すべき一族の謎の数々にも魅力がある。

 ところがその「魅力」に、案外持続性がない。また、解明の過程にもエキサイトするものがない。多数の人物名などが飛び回り、把握しきれぬほどの情報量もあって、物語についていくのは結構きつい。私もその一人だが、これはどう見ても未読者向きではないだろう。じっさい試写会場では、お眠りになっていたり、携帯メールの確認に忙しい方々の姿が目立った。

 ムードはいいだけに、もう少しストーリーを面白く見せることができなかったものかと、残念に思う。

 脱ぎっぷりのいい期待の新鋭ノオミ・ラパス演じるヒロインも、キャラクターがつかみにくく感情移入しにくい。常識離れしたいでたちで、男性不信な若い女の子だが、もう少しチャーミングさを感じさせてくれれば、主人公との関係にも説得力が生まれ、今後のシリーズの吸引力にもなりえたのではないかと感じる。

 もっとも、原作には相当忠実に作られたといわれ、ファンにもおおむね好評のようなので、期待している方はあまり気にせず鑑賞したほうが良いかもしれない。

前田有一

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