◆28世紀だというのに、4つの企業が繰り広げる戦いは何とも古風で、まるで第一次世界大戦のような趣(30点)
スウェーデンのゲームシリーズの映画化である本作は、最終戦争を描いたB級SFアクションだ。はるか昔に宇宙からやってきた“マシーン”は、人間を凶暴なミュータント(突然変異体)に変える力を持っていたが、人間の決死の判断で地中深く封印される。そして28世紀の地球。わずかに残された天然資源を巡って、世界を支配する4つの巨大企業が壮絶な戦いを繰り広げる中、マシーンの封印が解かれ、瞬く間に地球全体を恐怖で覆いつくした。人間は滅亡する運命なのか。勇者の末裔である僧侶サミュエルは、世界中から精鋭を募り、マシーンとの対決を決意するが…。
28世紀だというのに、4つの企業が繰り広げる戦いは何とも古風で、まるで第一次世界大戦のような趣だ。ミュータントのビジュアルも、片腕の先に鋭い殺戮ハンドを持つというこれまた古風な刃物系。ひたすら暴れるその様子は原始的でしかない。ラストのスペクタクルも含め、物語にはまともな人間描写はなく、敵を倒して次へ行くという動きそのものが重視されているのが、いかにもゲームの映画化らしい。シレッと登場する名優ジョン・マルコビッチや、顔つきから最も大暴れしそうなロン・パールマンが物静かな修道僧だったりと、キャストが珍妙。こんな節操のないキャスティングもカルトなB級SFの味といったところか。内容はさておき、この作品の個性は、映画、DVD、TV放送、VOD(ビデオ・オン・デマンド)が同時に展開するということ。鑑賞する選択肢が多いのはありがたいが、あくまでも劇場での成績がモノを言う興収では手痛い結果が予想され、映画の発信形態としては課題が残る。
(渡まち子)