ミッション: 8ミニッツ - 樺沢 紫苑

「今を、生きる!」 後で後悔しないように、今を精一杯生きようというテーマは、「今を、生きる!」を信条としている私にとって、
非常に心に響くテーマ。(点数 80点)


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乗客が全員死亡する列車爆破テロが勃発。
 ある最先端の装置を使い、事故犠牲者の事件発生8分前の
意識に入り込み、その人物になりすまして犯人を見つけ出すという
作戦を与えられる元兵士のコルター(ジェイク・ギレンホール)。
 
 コルターは、何度も何度も、8分前に戻り、
少しずつテロ事件の謎を解き明かしていく・・・。

 タイムスリップやタイムマシンとは違い、
意識だけを過去に飛ばすというアイデアがユニーク。

 『メメント』に代表される時系列破壊映画的な雰囲気はあるが、
厳密な意味で、主人公を中心として時系列は、
一直線に進んでいるのだが、映画的には、
何度も過去に戻り、そのたびに違った行動をとるので
非常に複雑な印象があって、
難解系映画が好きな人は、引き込まれるはず。

 私がおもしろかったのが、コルターは8分前に戻り、
クリスティーナという女性と出会う。
 最初は初対面だったにも関わらず、何度も何度も、8分前に戻り、
彼女と何度も会うことによって、彼女への恋愛感情が芽生えるくだりだ。

 まさに、心理学でいうところのザイオンス効果。
 接触回数が増えれば増えるほど、好意度は増していくという。
 何度も会うことで、心理的距離は接近していく。

 この映画で一番よくないのは、
「このラスト、映画通ほどダマさ騙される。」
という、映画会社がつけたキッャチコピーだ。

 この映画に全く似つかわしくないキャッチコピーのせいで、
映画に変な先入観を与えてしまい、
映画の本当のおもしろさを減じているのだ。

 ラストのドンデン返しを期待せさるこのキャッチ。
 この映画には、それほど驚かされるようなドンデン返しは
存在しない(笑)。
 映画ファンの想定可能な範囲の、ヒネリはあるけども。

 というかこの映画は、複雑な展開のストーリーを楽しむ映画で
ありながら、本筋のところは、「生きられなかったもう一人の自分」を
生き直す映画でもある。
 
 その意味で、「喧嘩別れた父親との関係修復」のエピソードは、
非常に映画を奥深いものにしているし、
クリスティーナへの恋愛感情と彼女の命を救えるのか
という「恋愛映画」的なおもしろさに着目して
ラストに流れ込んだほうが、映画の後味は圧倒的に良いだろう。
 
 映画を見終わった後に、いくつかの疑問点が残るが、
これもまた、一緒に映画を見に行った人との会話の誘発剤として
良いではないか。
 
 「今を、生きる!」
 後で後悔しないように、今を精一杯生きようというテーマは、
「今を、生きる!」を信条としている私にとって、
非常に心に響くテーマ。

 ストーリーの細部にこだわったり、あまり辻褄合わせにこだわると
映画のおもしろさを損なう。
 
 サスペンスありの恋愛映画として期待せずに見れば、
かなり楽しめる一本だと思う。

樺沢 紫苑

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