マーシャル博士の恐竜ランド - 小梶勝男

◆安心して楽しめる分かりやすい笑い(67点)

 映画館で、字幕を見ている我々日本人には全く可笑しくないのに、外国人(たぶん英語圏の人)だけが英語のセリフに大笑いしている、という場面に覚えはないだろうか。あれはなかなか悔しいものだ。洋画のコメディを見るといつも、もっとセリフが分かればもっと面白いんじゃないか、などと思ってしまう。

 その点、この作品は大丈夫。主役を務めるコメディアン、ウィル・フェレルは日本では余り人気がないが、笑いがとても分かりやすい。しかも、「裸の銃(ガン)」シリーズのザッカー&エイブラハムズのように、下ネタ連発というわけでもない。安心して笑うことが出来る。

 SFコメディといえばいいのだろうか。1970年代の米テレビシリーズ「Land of The Lost」の映画化。フェレル扮するマーシャル博士と、博士の学説を信じる若い女性学者、奇妙な土産物屋を営む男の3人が、タイムワープが出来る装置の発明によって、恐竜、類人猿、トカゲ人間らが棲み、ジャングルに火山、そして砂漠にガソリンスタンドやモーテル、プールまでが同時に存在するデタラメなパラレルワールドに迷い込んでしまう。

 三池崇史監督の「ヤッターマン」を見たときに、懐かしかったのと、アニメが忠実に実写で再現されていることにある種の感動を覚えたが、本作もアメリカ人にはテレビドラマとして子供のころに親しんだ、懐かしいものなのだろう。だが、テレビシリーズを見ていない我々には懐かしさもなく、オリジナルとの違いも分からない。それでも十分に楽しめるのがいい。

 ティラノサウルス、プテラノドンなど、CGで描かれる恐竜たちは「ジュラシック・パーク」並に非常にリアルだ。動きも素晴らしい。ジャングルで、マーシャル博士らをティラノサウルスが追いかける場面は迫力があった。一方で、トカゲみたいなヒューマノイドは50?60年代B級SF風。あるいは60年代のSFテレビシリーズ「アウター・リミッツ」風だろうか。月が3つあるのは「スター・ウォーズ」の太陽が2つある星タトゥイーンを意識しているのだろうし、砂漠に文明の遺物があるのは「猿の惑星」だろう。「地底探検」「SF巨大生物の島」「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」「2001年宇宙の旅」などを思わせる場面もある。それらを拾い上げていけばSF映画史を語ることが出来るほどだ。しかし、そんなことを全く気にしなくても、やっぱり十分に楽しめる。決してマニア向けの映画ではないのだ。

 逆に言うと、誰にでもそこそこ楽しめるだけに、強烈なインパクトには乏しく、すぐに忘れてしまいそうな作品でもある。

 エンドクレジットの途中で映画の続きがあるので、最後まで席を立たないようお薦めする。

小梶勝男

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