マーキュリーマン - 佐々木貴之

◆スカッとした最高に良い気分にさせてくれる(80点)

 タイ製アクション映画と言えば、生身の体を張った格等系のイメージが強いが、本作はアメリカンコミックが原作のハリウッド製SFヒーローアクションを意識した作品だ。

 正義の感情で任務に当たり、スタンドプレーばかりして同僚から目を付けられている消防士チャーン(ワサン・カンタウー)は、アメリカに憎悪を抱くテロリストのウサマ・アリ(アノン・サーイセンチャ)脱獄騒動に巻き込まれた際に、チベット秘宝“太陽の護符”を胸に突き刺される。その瞬間、チャーンは護符のパワーによって重力を操り、高熱を発揮する超人マーキュリーマンとなった。太陽の護符と同等の秘宝“月の護符”を入手したテロリストは、チャーンから太陽の護符を奪うため、母親を拉致して挑発する。マーキュリーマンは、極悪非道なテロリスト軍団と激闘を繰り広げる。

 本作は、ハリウッド製SFヒーローアクション作品のようにVFXを駆使すると同時に、従来の生身の格闘アクションをプラスして描いている。さらに近年目立っている中近東のテロをネタにした作品のテイストを取り入れている。こうしたことによってアクション映画としての面白さが最大限に発揮されている。

 マーキュリーマンの見た目は、『スパイダーマン3』(07)に登場した黒色スパイダーマンを思わせる。コミックが原作の作品ではないため、『スパイダーマン』シリーズを意識して作られたと思う。そんなマーキュリーマンがムエタイ風の攻撃で敵を蹴散らす姿は、ハリウッド製SFヒーローアクションにはない新味な面白さが感じられる。また、鋭いキレ味で描かれているため、スカッとした最高に良い気分にさせてくれる。マーキュリーマンが飲酒運転するドライバーや婦女暴行魔をやっつけては新聞に取り上げられるシーンは、まさに正義のヒーロー参上という感じでこれがまた気持ち良さを存分に味わえる。

 やはりどうしてもハリウッド製SFヒーローアクションと比較してしまうが、比較すれば多少パワーダウンしていることだけは否めない。それでも存分に楽しむことができる面白い作品であるためそれだけでも十分良いのだ。

 チャーンの妹(元は弟)役として『ビューティフル・ボーイ』(03)で半生を描かれたオカマのキックボクサーとして有名なパリンヤー・ジャルーンポンが出演している。マーキュリーマンの活躍と同時にパリンヤーが魅せつける格闘アクションと演技も是非とも注目していただきたい。

佐々木貴之

【おすすめサイト】