マーガレットと素敵な何か - 福本次郎

人は心の声に耳を傾けてこそ幸せになれるという人生の真理をこの作品は教えてくれる。 (点数 60点)


(C)2010 Nord-Ouest Films – France 2 Cinema – Artemis Productions – Rhone-Alpes Cinema – Mars Films

辛い現実に耐えるために無理やり封印した幼い日の夢。カラフルで形
もさまざま、宝石みたいに輝いている。40歳になった今、キャリアは
順調だが、忙しさのあまり他人を慮る時間さえ失くしている。そんな、
貧しい暮らしから抜け出したい気持ちだけで全力疾走してきたヒロイ
ンが、30年以上前の自分からの手紙の指示を実践する過程は、築き上
げてきたもモノと犠牲にしてきたものを比較し、選択するプロセスだ。

【ネタバレ注意】

プラント事業を推進するマーガレットの元に、故郷の田舎街の公証人
が訪れ、古い手紙の束を置いていく。それは7歳の時のマーガレットが
未来の自分宛てに綴った思い。その後も手紙が届けられる。

マーガレットは手紙を完全に忘れていないのに、意識の外に追いやろ
うとしている。マーガレットと名乗り始めて、マルグリットの名で過
ごした少女期を捨てたと思い込んでいた彼女にとって、手紙など早く
処分してしまいたいのに、一方で気になって仕方がない。完璧なキャ
リアウーマンとしてのプライドが邪魔をして素直になれないマーガレ
ットの姿が哀れで滑稽だった。

それでも、初恋の相手や音信不通だった弟と再会するうちに、彼女の
わだかまりは徐々に氷解して行く。そして、純粋に夢想していられた
時代の感情を思い出し、「君自身になれ」と言ったピカソの言葉を行
動に移していく。人は心の声に耳を傾けてこそ幸せになれるという人
生の真理をこの作品は教えてくれる。

福本次郎

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