マックス・ペイン - 佐々木貴之

◆最初から最後の最後まで楽しめる一級のエンターテイメント(80点)

 20世紀フォックス社が、昨年の『ヒットマン』(07)に続いて再びゲームが原作のガンアクションを世に送り出した。

 ニューヨーク市警の未解決事件班は訳ありの汚職刑事が集まっており、そこに所属するマックス・ペイン(マーク・ウォールバーグ)は、愛する妻子を殺害され、苦心しながらその犯人を追い続けている。

 ダークな雰囲気を漂わせたクールな映像、顔にもタトゥーが彫り込まれた怪しげな敵、物語の重要な要素である新種のドラッグに羽のタトゥー。これらがアウトローの世界観を形成し、スタイリッシュな魅力を発揮させている。

 序盤から中盤までは主人公マックスの活躍を、サスペンスの連続とちょっとしたアクションを挟んで描く。そこに羽を持った不気味な悪魔が宙を舞う幻想が観られ、観る者に興味を抱かせる。特にサスペンス描写は刑事映画らしい仕上がりとなっており、その面白さを汲み取れる。

 中盤以降は、本作の狙いであるガンアクションが展開され、クライマックスまで多くの見せ場が用意される。

 マックスの身辺で起きる連続殺人事件と妻子殺人の関係が、死んだ妻ミシェルの元勤務先にあると睨んだマックスは、大手製薬会社に向かう。ここで第一の見せ場となる大銃撃戦が繰り広げられる。武装した警備員軍団が撃ちまくり、マックスが負けじと応戦する。屋内のスプリンクラーから水が噴き出し、ガラスが勢い良くド派手に粉砕する。とにかくこの壮大なバトルは最高の迫力が感じられ、手に汗を握って楽しめる。

 そして、最終決戦はマックスがある事をやらかして臨むが、このある事が観る者をあっと驚かせる。これに共感できないという方もいるかも知れないが、捉えようによってはありとも言えるだろう。クライマックスでは、ド派手な銃撃戦とともに羽を持った悪魔による幻想が融合し、ゲームの持ち味がリアルな映像によって巧く表現され、パワフルで迫力満点の面白さを存分に味わえる。ビルの爆破シーンがしっかりと用意されているのも良い。

 本作の特徴として、ゲームで観られる“バレット・タイム”映像を再現させるべく、最新のスロー映像専用カメラを駆使して従来のアクション映画とは違ったスローモーションで銃撃戦を描いている。この趣向も大いに認めるが、それよりもテンポ良く描かれた凄まじい描写の方が好印象で面白い。

 ジョン・ムーア監督は、エンターテイメント要素を最大限に発揮させたアクション演出に成功し、胸のすくような醍醐味が感じられるような作品に仕上げたのである。

 マーク・ウォールバーグが主人公マックスをハードボイルドなイメージで好演し、彼が魅せつけるアクションは最高で実にカッコいい。他に、殺されてしまうヤク中のロシア人美女ナターシャに新ボンドガールで先述した同趣向の『ヒットマン』にも出演していたオルガ・キュリレンコ、元警官でマックスの良き理解者だが途中で意外なキャラクターとして描かれるB.B.にボー・ブリッジス、マックスを容疑者としてマークする内務調査官ブラヴーラにラッパーのクリス・“リュダクリス”・ブリッジス、スキンヘッドに顔面タトゥーの謎の男ルピノにアウマリー・ノラスコ、ナターシャの姉でマックスと敵対していたが途中で応援役としてサポートするモナにミラ・ニクスといった一流のキャストが魅力的なキャラクターを好演している。

 エンドロール後にもオマケシーンがあり、最初から最後の最後まで楽しめる一級のエンターテイメント作品だと言いたい。

佐々木貴之

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