ボイス - 前田有一

◆音響で恐怖を表現したアイデアは買いたい(40点)

 韓国製現代ホラー。契約したばかりの携帯電話が突然鳴りだし、それを取ってしまった者に壮絶な死が訪れる……。そういう、身近な都市的恐怖を描いた映画である。

 吹き替え版もあるのでお子様も楽しめるが、はたしてお子様に見せてもいい映画なのかどうかは、はなはだ疑問である。

 監督は「ハリウッドには規模ではかなわないので、工夫で頑張る」というが、なかなかどうして、カメラが上手いので、見た目はハリウッドの超豪華ホラーと比べても全く遜色は無い。

 この監督のいう工夫とは、音響で恐怖を演出するというなのであるが、これは確かにグッドアイデアだ。最近の遊園地やゲームセンターには、暗闇でヘッドフォンをつけて怖いドラマを聞くアトラクションがあるが、あのアイデアを映画に取り入れている。

 音響設備のいい劇場でこの映画を見ると、非常に手の込んだ音響演出をしている事が良くわかるだろう。携帯電話の無機質な呼び出し音が、ドキッとするほど怖く感じる。

 また、TVCMでもチラッと写っているが、悪霊の乗り移った子供の演技がえらく怖い。白目むいた迫真の演技力には感服する。あの顔を見ているだけでも怖いほどだ。彼女にはある成人女性の霊が乗り移っており、その状態で実の父親とのキスシーンがあるのだが、これはまるで恋人同士のキスシーンにしか思えぬすばらしい演技で、大きな見所だ。

 ただ『ボイス』は、最近のホラーにありがちなマンネリ感のあるオチがよくない。「リング」の影響を受け過ぎの印象であり、こちらとしてはいいかげんにオリジナリティのある結末を考えてくれと思う。

 さらに選曲のセンスが悪いというのもあげられる。ベートーベンの月光ソナタをメインテーマにするのはいいのだが、使用法がかなりしつこい。ポイントで効果的に使う方法を模索してほしいと感じた。

 まとめとして、映画全体としてはさほど怖くは無いが、少女の顔だけは怖い作品だ。最近の韓国映画らしく、映像と音響がとてもいいから、安っぽさは全然無いが、もうひとひねりほしいところだ。

前田有一

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