◆クドクドとした説明などなく一気にサバイバルに突入する展開が小気味良い(70点)
最強の地球外生命体プレデターとの戦いは完全アウェイでの死闘。ゲーム的展開ながら独創的なストーリーは映画として見事に成立している。不気味なジャングルに人間の男女8人が放り出される。そこは未知の惑星で、恐るべき地球外生命体・プレデターの人間狩りの場だった。傭兵やスナイパー、特殊部隊やヤクザなど、戦闘のプロたちは、自分たちが狩りの獲物としてこの星に連れてこられたことを知る…。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の 1987年の「プレデター」は異色のサバイバル・アクションとして強烈なインパクトを持つ作品だった。本作は、ジャングルでの壮絶なバトルと、強敵プレデターの武器である、カモフラージュやカギ爪、プラズマ砲などの特徴をオリジナルから継承しつつ、プレデターの本拠地での人間狩りという新しいサバイバル劇として再起動している。いわばホーム・アンド・アウェイの闘いで、単なるリメイクや続編とはまったく違う世界観が面白い。しかもオリジナルのプレデターは南米のジャングルで“一人暮らし”だったが、今回、タイトルが複数形。敵は過激に進化・増殖しているというわけだ。
物語は、いきなり空から放り出される兵士たちという冒頭のシークエンスが素晴らしいが、クドクドとした説明などなく一気にサバイバルに突入する展開が小気味良い。何しろプレデターたちの目的は、地球侵略とか人類征服などという面倒なことではなく、とにかく最強の敵と戦う快楽を貪ること。人類が最強かどうかはさておき、獲物である人間たちが抵抗すればするほど燃えてくる。一方、選ばれた人間たちもまた究極の殺し屋だけに、生き残るために足手まといになる者は平気で見殺しにする非情さも。終盤には人間側にちょっとした驚きも用意されている。見た目は醜悪で性格は残忍だが、剣豪のような孤高の精神を持つ最凶の異星人プレデター。彼らと人間とのバトルは、闘争本能と生存本能という勝負なのだ。これには一種の様式美さえ漂っている。本作で製作を務める鬼才ロバート・ロドリゲスの、プレデターへの偏愛が生んだ魅力的なオリジナル・ストーリーで、意外なほど楽しめるアクション劇だ。
(渡まち子)