プリンセスと魔法のキス - 渡まち子

◆ディズニーが原点回帰の手描きアニメに立ち返ったのが話題だが、まったく古さは感じさせない。それどころか逆にシンプルな絵柄が好ましく、今までにない要素を盛り込んだストーリーの素晴らしさがより浮き彫りになった(70点)

 ピンチの中でもクサらず愛に気付くヒロイン像が新鮮な良作アニメだ。米国南部のニューオリンズでウェイトレスとして働くティアナは、レストランを持つのが夢。ある時、ティアナの前に言葉を話すカエルが現われる。自分は本当はナヴィーン王子で魔術師ファシリエに呪いをかけられた身、呪いを解くためにキスしてほしいと頼まれる。必死の願いに仕方なくカエルにキスしたティアナだったが、なんと彼女までカエルになってしまう非常事態に。二人は、呪いを解き人間に戻る方法を知る女魔術師ママ・オーディの家を目指して一緒に旅をするが…。

 ディズニーが原点回帰の手描きアニメに立ち返ったのが話題だが、まったく古さは感じさせない。それどころか逆にシンプルな絵柄が好ましく、今までにない要素を盛り込んだストーリーの素晴らしさがより浮き彫りになった。労働者階級出身の黒人女性がヒロインというのがまず新しいし、世間知らずで甘えた王子が資産目当てに結婚相手を探すという設定も切実ながら新鮮だ。共にカエルになった二人の旅は、ニューオリンズらしく、ジャズやゴスペルなど賑やかでパンチが効いた音楽に溢れていて、自然とノセられる。ワーカホリック気味のティアナが人生の喜びと豊かさに気付き、ティアナにビシバシ鍛えられた王子が、働いて得る喜びや本当に愛する人と結ばれる大切さを感じていくプロセスは、物語を大事にするディズニーならではの上手い展開で、いつしか引き込まれる。ワニのルイスやホタルのレイなど、魅力的な脇役も登場。特にレイと彼が恋する“星のように美しい”エバンジェリーンとの顛末には泣かされた。

 プリンセスものはディズニーの十八番だが、醜い姿のカップルという設定でディズニーをパロッてみせた「シュレック」を連想させながら、それをさらにもうひとひねりする高難易度の技がサエた。何より、ヒロインがただ王子様を待つだけでなく、積極的に運命を切り開き、納得がいく形で愛する人を選ぶ姿は、現代女性に大いにアピールするだろう。舞台をニューオリンズに設定したのは、その情緒あふれる街並みや音楽の魅力もあるが、それ以上に、ハリケーンで壊滅的な被害を受けて傷ついた人々に夢と元気を与えたいという意図があるはずだ。そういう温かい気配りが、ディズニー・アニメには確かにある。だからこそ彼らの作品はいつの時代も愛される。古風な絵と現代的な物語がマッチした新機軸のプリンセス・ムービーだ。

渡まち子

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