プラネット・テラー in グラインドハウス - 福本次郎

◆義足代わりのマシンガンを華麗な身のこなしで操り、ぶっ放すというアイデアを映像で見せたかったのだろう。そこにゾンビを登場させようという短絡的な内容は、大量の火薬で破壊しまくるだけの大味な出来栄えになってしまった。(30点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 右足を失ったヒロインが、義足代わりのマシンガンを華麗な身のこなしで操り、ぶっ放す。要するにそのアイデアを映像で見せたかったのだろう。大量の銃弾を撃つわけだから大量の標的が必要。ならば、どんどん殺していったほうがよいゾンビを登場させようという短絡的な内容は、大量の火薬で破壊しまくるだけの大味な出来栄えになってしまった。ダニー・トレホが「ハメられた殺し屋」を演じた、本編とは関係のないプロローグのほうがよほど面白かった。

 テキサスの田舎街で生物化学兵器に感染した人々が次々とゾンビ化する。ゾンビに足を食いちぎられたダンサーのチェリーは元恋人・レイと合流、生き残った保安官たちと共に手がかりとなる軍事施設に向かう。

 倒しても倒しても圧倒的な数で押し寄せるゾンビに対し、残された人間が徐々に追い詰められていく。そのあたりはもはや見飽きたゾンビ映画以外の何物でもなく、新鮮味はほとんどない。浮腫んだ皮膚から血膿が飛び出したり、ゾンビが人間の脳や内臓を食らったり、撃たれたゾンビが派手な血しぶきを上げたりと、確かにスプラッター度はパワーアップしている。ただそれは不快指数が上がっているだけで、映画の楽しさが大きくなっているわけではない。

 そしてクライマックス、チェリーが飛び、回転し、前屈姿勢からでも素早くしなやかな動きで右足を連射する。しかし相手は所詮ゾンビ、抵抗する間もなく射的の人形のように蹴散らされていく。むろんそこには右足を奪われたチェリーの憎しみがこもっているのだが、そこから何らかのカタルシスを感じることは不可能。結局チェリーたちは、ゾンビを全員退治することも生物兵器の治療薬を見つけることもなく基地を脱出、リゾート地で楽園生活を送るという不可解なラスト。なぜか凄腕ガンマンだったレイの過去も明かされずじまいだった。予測不可能な展開の物語を考えているうちに収拾がつかなくなってしまったと思われる、策士が策に溺れた稚拙な脚本だ。それにしてもなぜポスターは左足がマシンガンなのだろう。。。

福本次郎

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