ブルー・ゴールド-狙われた水の真実 - 福本次郎

◆水は住むあらゆる生き物の必需品なのに、一部大企業が所有権を独占しようとする。梅雨や台風のおかげで雨水に恵まれ、「水はタダ」というのが常識の日本に住んでいると切実さはないが、その認識はいかに甘いかを痛感する。(60点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 水はいったい誰のものか。地球に住むあらゆる生き物の必需品であるはずなのに、一部大企業が所有権を独占しようとする。梅雨や台風のおかげで雨水に恵まれ、「水はタダ」というのが常識の日本に住んでいると切実さはないが、その認識はいかに甘いかを痛感する。欧米の貪欲な水企業は、水を戦略的資源として虎視眈々と狙っているのだ。

 工業化によって水の大量摂取と水質汚染が始まり、やがて水が商品としての価値を持ち始めると、大企業が投資対象として良質な水源の確保に走る。ボリビアや南アフリカでは欧米の水企業によって上水道が支配され、パリやグルノーブルといったフランスの都市でさえ一時水道は民営化されていた。確かに効率は上がるかもしれないが、命の素ともいえる水の管理は公共事業の最たるもの。市民から反対運動が盛り上がり、私企業の手から公共に取り戻すという「住民パワー」が爆発する。これこそ民主主義が正常に機能している証だ。

 米国で売られているペットボトルの水は水道水とほとんど変わりないと発売元が認めている場面が笑える。蛇口からはほぼ無料で飲める水を、わざわざ「おいしい」というイメージにカネを払っていたというバカバカしさ。もちろん水道水が飲めない地域では必要だが、ほとんどの先進国では水道水は飲料水として利用できる。水企業の専横を許さないためにも「ペットボトルの水は買わない」ということから始めようという気にさせてくれた。

 映画は、環境問題の活動家から水不足に苦しむ発展途上国の人々、水源を奪い返したり腐敗した政治家を糾弾する市民まで幅広い層のインタビューで構成され、「水は共有財産」という訴えを繰り返す。ただ、彼らの主張とマルコム・マクダウェルのナレーションが、機関銃のような休みない言葉の連射となり、加えて危機感をいたずらに募らせるような音楽のせいで、かえってプロパガンダ臭くなってしまったのが残念だった。

福本次郎

【おすすめサイト】