◆簡単に侮ることができないような作風(70点)
二週間の休暇を利用してオーストラリア北部へ赴いたリー(メーヴ・ダーモディ)と姉グレース(ダイアナ・グレン)とその彼氏アダム(アンディー・ロドレーダ)の三人は、川釣りツアーに参加し、ガイドのジムを加えた四人はボートに乗って良い釣り場を求めて上流へ上がっていく。ボートがマングローブの沼地に入ったとき、何かが直撃してボートは転覆し、四人は川の中に突っ込んでしまう。グレースとアダムは水の中からマングローブの木へと這い上がるが、リーとジムの姿が不明状態になる。そこで二人が目の当たりにしたのは、大きなワニであるクロコダイルであった。リーは何とかひっくり返ったボートに上がり、グレースとアダムがいるマングローブの木へ辿り着くのだが……。
総キャスト数は、なんとたったの五人だけ! 明らかに低予算のオーストラリア製パニック・サスペンス作品。
実話を基にしたストーリーをアンドリュー・トラウキとデイヴィッド・ネルリッヒの両監督が、よりリアルな作風へと仕上げるためにメイン舞台となる沼地に拘ったり、CG等で再現されたものではないホンモノのワニを使ったりといった工夫を施した。この努力は大いに讃えたいものだ。特にこのホンモノのワニが三人を襲うシーンが最大の見所であり、スリル満点で驚愕させられ、モンスターパニック作品としての面白さを満喫できる。また、「三人は無事で生きて還られるのか?」、「この先どうなるのか?」というようなことが気になり、これが本作が持っているサスペンスとしての面白さだと言える。
数多く存在するワニをネタにしたB級モンスターパニック作品の中では異色の作品であり、本作もB級色は強いが、簡単に侮ることができないような作風へと仕上がっている。それは、低予算を逆手に取ったリアリティーを追求した作り方で魅せるべき部分をしっかりと魅せつけてサスペンス、モンスターパニックとしての面白さを発揮しているからである。
(佐々木貴之)