◆驚愕させられるようなシーンでもリアルな設定も手伝って恐怖や戦慄を存分に味わわせてくれる(75点)
極寒のスキー場を舞台にした体感型シチュエーション・スリラー。監督はホラー映画界の新鋭アダム・グリーンで、製作には『ソウ』シリーズのピーター・ブロックが携わっている。
スキー場に遊びに来ていたダン(ケビン・ゼガーズ)、ジョー(ショーン・アシュモア)、パーカー(エマ・ベル)のノーテンキ学生三人組が最後の滑りを楽しむべくリフトに乗り込む。だが、運行中のリフトが突然ストップしてしまい、三人だけが取り残されてしまうハメに。高所のためリフトから飛び降りると間違いなく重症を負う、助けを求めても周りに人は誰一人もいない上に猛吹雪が吹き荒れ、気温はさらに低下、食料もないというバッドシチュエーションに陥った三人。さらに最悪なことにスキー場の営業再開は一週間後。果たして三人はどうなってしまうのか?!
『オープン・ウォーター』(04)の雪山ヴァージョンとも言われる本作。しかも明らかに低予算であることがわかる作風。それでも、創意工夫を凝らしてなかなか面白く仕上がっているのだ。
シチュエーションをフルに活かしたサスペンス色がメインのパニック・ホラーかと思いきや、アダム監督が『HATCHET ハチェット』(06)でスラッシャーを描いていたということもあってインパクトが強いゴアな描写が観られたり、驚愕させられるようなシーンでもリアルな設定も手伝って恐怖や戦慄を存分に味わわせてくれる。とにかく見応えは十分であり、しっかりと楽しめる作品として仕上がっているのだから他に言うことはなしだ。
本作を観てスキー場に行くのが怖くなった人、リフトに乗るのが怖くなった人、いるかも…・・・。
(佐々木貴之)