フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い - 前田有一

つくりのいい定番商品といった感じが好ましい(70点)

 この『フォー・ブラザーズ』は、派手なスターが出ているわけでもないし、有名監督による作品というわけでもない。ストーリーにも特筆すべき点はなく、要するに何も目を引く要素がない。映画会社の宣伝マンたちにとっては、恐らくかなり頭を悩ます部類の作品ではないかと思う。

 ところが、えてして掘り出し物というのはこの手の作品に多いのである。私としてもまったくノーマークで、珍しく時間が空いたうえに手近な試写室でやっていたから見た、というパターンであったが、結果的には実にラッキーだった。

 舞台は感謝祭前のデトロイト。労働者たちが暮らす町の一角にあるスーパーで、ある中年女性が強盗の巻き添えになり射殺される。そして、彼女の葬儀に集まった中に、この物語の主人公となる4人兄弟がいた。彼らは兄弟といっても血がつながっているわけではなく、肌の色さえも違う。ただ、みな彼女に養子として育てられた、血よりも強い絆で結ばれた男たちだ。元ゴロツキだった彼らは、彼女の深い愛情のおかげで更正したのだった。

 さて、ここから怒りに燃えた4人の復讐劇が始まるわけだ。つまり、お母ちゃんの敵討ちである。頼りにならない警察より早く犯人を探し出し、自らの手で裁く。倫理的な善悪については一切言及なし。とにかく悪はぶち殺せというジャイアニズム映画、アメリカ的な定番復讐モノである。

 しかし、最近はこの手のストレートな勧善懲悪もあまり見ることが無くなった気がする。東京でいえば12chでTV放映していたような、愛すべき能天気な西部劇のような作品を。『フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い』は、そんなクラシカルな雰囲気を持った一本だ。まあ、それもそのはず、これは65年のジョン・ウェインの西部劇『エルダー兄弟』を元に、現代風にアレンジしたリメイクなのだから。

 『フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い』は、4人の主人公をしっかりと描けているから、ドラマにぐいぐい引き込まれる。この作品のように、単純に主人公側に感情移入して楽しむ映画というのは、たまに見ると面白いものだ。

 アクションシーンは、いまどきの映画らしく迫力あるもので、派手な動きこそないものの、銃撃戦はかなり出来がよい。これはストーリーにも言えることだが、荒唐無稽さを極力抑え、それなりにリアルに見せてくれるところも大人向きといえる。まあ、細部はかなり適当だったりもするが、それもマイナスには感じない。

 週末に、肩の力を抜いて見られる痛快な一本を探しているなら、この作品はベストチョイスといえる。突出した要素のないベーシックな作品だが、人間描写という基本的な部分のつくりがしっかりしているから、十分に楽しめるだろう。

前田有一

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