フェーズ6 - 渡まち子

フェーズ6

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◆凶暴なクリーチャーや派手は爆発など何一つ起こらないのに、ジワジワと広がる恐怖はリアリティたっぷりで緊迫感があり、アイデア勝負の作品と言える(65点)

 低予算で、ありがちな設定にもかかわらず人間の本性を暴く、意外にも出来のいいバニック・スリラーだ。致死率100パーセント、治療薬もないウイルスがまん延する世界で、感染を免れたブライアンとダニーの兄弟は、それぞれの恋人と共に、彼らが幼い頃過ごした思い出の地である海岸を目指して車を走らせていた。4人は、ゴーストタウンと化した途中の街で、さまざまな状況で生き残った人々に遭遇する。しかし、やがて4人のうち1人が感染していることが発覚すると、封印されていた本性がむき出しになっていく…。

 感染せず生き残るためには、人との接触を避け、感染者を抹殺するしかない。究極のストーリーでは、ウイルスの恐怖より人間のエゴの恐ろしさの方が際立った。お調子者だが非情な決断も下す兄ブライアン、心優しいが日和見主義の弟のダニー。彼らの変化が、極限状態で人間らしくあることとは何なのかを改めて見るものに問う。途中で車に同乗する父親は、感染した幼い娘と共に最後まで一緒にいようとし、子供たちを救うことができないことが分かって絶望した医師は、せめて安らかな死をと願う。一方で、感染した者を容赦なく撃ち殺しながら、自分が感染したと分かればそれをひた隠すものも。生き残ってしまう方がよほど苦痛なのではないか。そもそも生き残って希望はどこにあるのか。タイトルのフェーズ6とは、世界保健機関(WHO)が定めた最高度の感染警戒レベル。人から人へと感染するパンデミックは、新型インフルエンザの恐怖の記憶も新しい我々には決して絵空事とは思えない。凶暴なクリーチャーや派手は爆発など何一つ起こらないのに、ジワジワと広がる恐怖はリアリティたっぷりで緊迫感があり、アイデア勝負の作品と言える。人間らしさを保って死ぬか、人であることを捨ててでも生きるか。自分ならどうするだろう? そんなことを思わず考えてしまうのだ。大作「スター・トレック」で主役をはったクリス・パインが、この小品で意外なほど上手さをみせている。

渡まち子

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