◆もう少しホラー、スリラー作品ならではの恐怖やショッキングな描写を用意していたらもっと面白く仕上がっていただろう(60点)
スペインのアレックスとダビのパストール兄弟の長編映画デビュー作となるサスペンス・スリラー。
致死率100%の謎のウイルスが世界中に広まり、人類滅亡寸前状態。ブライアン(クリス・パイン)と弟ダニー(ルー・テイラー・プッチ)、ブライアンの恋人ボビー(パイパー・ぺラーボ)、ダニーの女友達ケイト(エミリー・ヴァンキャンプ)の四人は、感染者との接触を避けるべく兄弟が幼少期に過ごしたメキシコ湾のビーチへ向って車を飛ばしていた。その時、四人は一組の父娘と出会う。だが、娘が装着しているマスクに血が付着していることから感染者だと思い、父娘を置き去りにして車を突っ走らせるが……。
低予算の地味な作品という印象が大きい本作。さらに、何が善で何が悪なのか? といったことや極限状態に追い込まれた人間の心理と本性を魅せることに重点が置かれているため、感染者が襲ってくるというようなゾンビ系ホラー映画のようなパニックや恐怖は一切描かれない。この点に関しては目新しいと思えるが、もう少しホラー、スリラー作品ならではの恐怖やショッキングな描写を用意していたらもっと面白く仕上がっていただろう。
本作に登場する感染者は死を待つのみ。だから、感染者が襲撃してくるパニック・スリラーのような作風を期待すると肩透かしを喰らってしまうこと間違いなしだ!!
(佐々木貴之)