夢に向かって突き進む (点数 100点)
時間をおいて、同じ映画を見直すと、非常に大きな発見があります。
特に10年以上も前に見た映画を見直すと、
最初に見た時は気づかなかったおもしろさを発見できるはずです。
それは言い換えれば自己成長であり、物事をより深く、
あるいはより広く見られるようになったことの証(あかし)
といえるかもしれません。
今回、『父親はどこに消えたか』の執筆に当たり
20本以上の映画をDVDで見返しましたが、
学生の頃(20年以上前)に見た映画もあり、
いろいろな発見がありました。
その中でも特に良かったのは、『フィールド・オブ・トリームス』です。
1990年に劇場で見ているので、実に22年ぶりに見たことになります。
『フィールド・オブ・ドリームス』は、「傑作だ!」「映画史に残る作品だ」
と絶賛する人もたくさんいますが、映画館で見た当時の私は、
野球が特に好きでもないせいか、全く感動しませんでした。
「野球好きな人にはおもしろいんだろうなあ」
というのが当時の私の感想ですが、
見なおしてわかるのは
「野球」とはあまり関係のない映画である、ということ。
たまたま、主人公と父を結びつけるのが「野球」である、
という重要な意味があるわけでずか、
一言でいえば「夢を叶える」「夢の実現」がテーマになっています。
「dream come true」という言葉が劇中、何度も出てきます。
この作品の中で私が好きなシーンを一つ挙げましょう。
「それを作れば、彼は来る」という不思議な言葉を聞いた
主人公のレイ(ケビン・コスナー)は、
「自分のトウモロコシ畑に野球場を作る」ことだと理解します。
そして妻に、自分は野球場を作りたいんだと、
情熱的に語ります。
そこで妻が言った言葉。
「あなたが本当にしたいと思うのならするべきよ!」
自分のトウモロコシ畑の半分を潰して野球場にする。
それは、収入が半減するということを意味しますから、
普通なら絶対に反対するでしょう。
しかし、彼女は夫の夢に賛成し、
その後も、夫の夢の実現を応援し続けるのです。
『フィールド・オブ・ドリームス』には、
自分の夢を実現するためのノウハウが満載されています。
「それを作れば、彼は来る」といいう声は、
結局は自分自身の声でした。
つまり、自分の心の声に耳を傾けて、それを実行する。
自分の本当にやりたいことというのは、
自分の心のどこかにあるんだ、ということ。
そして、「情熱」と「行動」の大切さ。
レイの情熱によって、妻も小説家のテレンス・マンも、
そして彼に批判的だった親戚も、彼に協力的に変化していきます。
「情熱」は自分を動かし、そして人を動かすのです。
「やり遂げるのだ!」
「夢」に向かって行動し始めたら、途中であきらめてはいけない。
やり遂げなくては、いけない、ということ。
そして、この球場に集まってくるのは、
やり遂げられなかった夢を持っている人たち、なのです。
レイは野球場を作り、
そこに既に死んでいる往年の野球選手が集まってきます。
そして、最後に「それを作れば、彼は来る」の「彼」がやってきます。
それが、実はレイの心のわだかまりであり、真の「夢の実現」だった、という。
タイトルの『フィールド・オブ・ドリームス』の意味ですが、
「夢の球場」だとばかり思っていましたが、
もう少し広い意味で「夢の舞台」と訳した方が、
夢があると思います。
あなたの「夢の舞台」は、どこですか?
その「夢の舞台」は、自分で作らないといけない
タイトルは、私たちに、
そんな問いかけをしているように聞こえます。
今見ると、『フィールド・オブ・ドリームス』は、間違いなく傑作です。
しかし、25歳でこの映画見た自分が、
この素晴らしいテーマに気付けなかったというのは、実に情けない話です。
当時大学生だった自分は、
自分の「夢」や「目標」というものが
ハッキリと定まっていなかった。
そして、そのための行動もしていなかった
からだと思うのです。
「夢の舞台」を作ろうとしたことが
一度もなかった自分には、このテーマは理解できなかったのか、
と今になって思います。
あなたにとっての「フィールド・オブ・ドリームス(夢の舞台)」は、
どこですか?
もしそれがわかっているのなら、
今すぐ、自分で作り始めるべきです。
きちんと行動すれば、あなたの夢の実現のために、
たくさんの人が集まってくるはずです。
(樺沢 紫苑)