いかにもB級というチープな味わいに満ちた映像と人間の本性を前面に押し出す展開は、不快を通り越してむしろ「なんじゃこりゃ」といった驚きやあきれ返りと共に笑いが込み上げ、低俗を極めた楽しみが全編にあふれている。(50点)
質の悪いフィルムで撮ったような粗い映像、かぶり物の怪物、短いカットでごまかそうとする編集、そして小人プロレスラーや女バイカーといった胡散臭そうな登場人物。いかにもB級、いやC級といっていいほどのチープな味わいに満ちている。本来はホラーとして作られたはずなのに、あまりにもグロテスクな表現の連続と、追い詰められた人間が見せる「自分だけは助かりたい」という本性を前面に押し出す展開は、不快を通り越してむしろ「なんじゃこりゃ」といった驚きやあきれ返りと共に笑いが込み上げ、低俗を極めた楽しみが全編にあふれている。
街道沿いのバーで妹の手首を見つけたバイカークイーンは、妹を殺した犯人を見つけるために街に向かう。しかしそこはすでに怪物に襲われた後で死屍累々、彼女は生き残った少数の人々と合流して怪物からサバイバルする決意をする。
怪物の死体を解剖するシーンでは汚物と吐しゃ物があり得ないほど大量に噴射され、その場にいる全員に容赦なくふりかかる。ゲル状の流動体から固形物交じりの液体まで、スクリーンから悪臭が漂ってくるかのようなえげつなさ。ビルの屋上で人間ロケット作るエピソードでも、死にかけた婆さんを実験台にするが、重量調節のために腕をもぎ取ったりするアナーキーさはコメディのよう。しかもその横にはオッパイ丸出しのおネエちゃんがいる。まったく混沌としているにもかかわらずバランスが取れているという、奇妙な構図だった。
グループを仕切る自動車セールスマンが勇躍赤ちゃんを助けに行く場面では、結局自分の命が危うくなると赤ちゃんを放り投げるという無責任さ。あえて身を危険にさらしても敵と戦おうとするヒーローなんてどこにもいない。危機を生き残るためには他人を平気で蹴落とす覚悟が必要だ。そんなスーパーヒーローモノに対するアンチテーゼとして、この映画は素晴らしい教訓を残してくれた。
(福本次郎)