ファンボーイズ - 佐々木貴之

◆『スター・ウォーズ』愛を超越した映画愛を感じられた傑作だ(75点)

 『スター・ウォーズ エピソード1 ファントムメナス』公開を控えた1998年。中古車販売店勤務のエリック(サム・ハンティントン)は、ハロウィンの夜に『スター・ウォーズ』好きの高校時代の友人たちと再会する。だが、そのうちの一人ライナス(クリストファー・マークエット)は末期ガンに冒されており、余命わずか。『エピソード1』公開まで生きているかどうかわからないということで彼らはルーカス・フィルムの本拠地“スカイウォーカー・ランチ”に侵入していち早く鑑賞することを目的にした旅に出るが……。

 本作は署名運動によって公開が決定した。署名運動展開中にDVDストレートが決定したが、それでも「是非とも劇場で観たい!!」という熱き訴えによって東京のある劇場で一週間限定という小規模ながらも何とか劇場公開が決まったのである。

 『スター・ウォーズ』好きによるコメディー、青春ロードムービーである本作は、『スター・ウォーズ』愛に満ち溢れてはいるもののオタク、マニア色をあまり感じさせない。未見の方でも楽しめるように仕上がっているのが好意的だ。だから、本作をきっかけに『スターウォーズ』に興味を抱く方が出てくるかもだ!!

 また、ギャグや下品かつおバカなセリフも繰り出されるが、おバカに徹することなく丁度良い感じのギャグに仕上げたことに関しても好感が持てる。

 主要キャストは、日本では知名度が低い役者ばかりだが、その分本家に出演したキャリー・フィッシャーやレイ・パーク、ビリー・ディー・ウィリアムズが顔を揃えており、これはファンにとってはたまらなく嬉しいプレゼントだ!! 挙句の果てには『スター・トレック』シリーズのカーク船長役でお馴染みのウィリアム・シャトナーまでも登場!! ダニー・トレホも顔を出している。

 ラストは友情と絆を描いているため、後味の良さが余韻として残る。私は本作を『スター・ウォーズ』愛を超越した映画愛を感じられた傑作だと言いたい。本作を観て『スター・ウォーズ』を好きになる方もいらっしゃれば、ハムチーズサンドを嫌いになる方もいらっしゃるかも……。

佐々木貴之

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