ファンタスティック・フォー:銀河の危機 - 福本次郎

◆銀色に輝く肉体でサーフボードを乗りこなし、超スピードで空中を切り裂き壁を抜けるシルバーサーファーの圧倒的な存在感の前にファンタスティック・フォーの影は薄い。その自己犠牲は美しく、彼の苦悩をもっと描くべきだった。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 銀色に輝く肉体でサーフボードを乗りこなし、超スピードで空中を切り裂き壁を抜ける。シルバーサーファーの圧倒的な存在感の前にファンタスティック・フォーの影は薄い。しかも、見かけの冷たさとは対照的にシルバーサーファーには人間らしい心が残っている。ゆえに4人が今回の戦うべき相手は、良心を持った敵よりも邪心を持った味方。愛するもののために魂を売ってしまった男が、自分のプライドをかけて地球を救う。その自己犠牲は美しいが、ならば彼の苦悩をもっと描くべきだったのではないか。

 宇宙の彼方から全身銀色の男がサーフボードに乗って地球にやってくる。シルバーサーファーの飛び去った後は異常気象が頻発し、米軍とファンタスティック・フォーが対処に当たるが、歯が立たない。そんな時彼の弱点を知る科学者・ビクターが米軍に協力する。

 ワーカホリックのリード、普通の人生を送りたいスー、初めて本当の恋に落ちるジョニー、愛を知るベン。4人それぞれ超人でありながら心は普通の人間のまま。そのあたりに新鮮さがなかっただけに、無機質なシルバーサーファーの心理的葛藤を見たかった。自分の故郷を守るために破壊者・ギャラクタスの下僕となる代償にシルバーサーファーとしての能力を身に付け、地球への破壊行為も仕方なくやらされているというジレンマ。心の痛みに耐えながら殺戮の先陣に立たなければならない彼の姿をスケッチするだけでも一本の映画として成り立ったはず。彼の告白を映像にするぐらいはサービスすべきだろう。

 その後、ボードを奪ったビクターがシルバーサーファーの能力を身に付け暴れまわる。だが、ギャラクタスが迫っているのにこの男は何をやっているのだろう。たとえファンタスティック・フォーに勝っても地球自体が崩壊しては意味がないではないか。結局、ビクターはパワーアップしたジョニーに破れ、シルバーサーファーはギャラクタスと運命を共にする。予想通りとはいえ、結末へのもっていき方がかなり強引だった。

福本次郎

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