全米で多発するミッシング・パーソンの真相についてのひとつの回答なのか。(点数 78点)
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アメリカは広い。物語の舞台となるオレゴン州ポートランドは州内最大の都市であり最大の都市公園を擁する。
アメリカでも神隠しという言葉があるのか知らないが、親しい人間がある日忽然と姿を消す怪談じみた逸話はあるらしい。
すくなくとも映画ではこの話題に事欠かない。
誘拐犯はエイリアンだったり、はたまた連続殺人鬼だったりするのだが、広いアメリカのことである。いったん行方不明になってしまったら手掛かりを掴まぬ限り砂漠の中の針を探すがごとく発見はほぼ不可能である。
アマンダ・セイフライドが演じる主人公のジルは虚言癖があるという設定で、周囲に自分が誘拐されていたと主張するのだが、その病歴のために誰からも信用されない。
彼女の妹が失踪しても警察もそれを信じておらず、結局独力で捜索を始めるのだが、その聞き込みで彼女の話す作り話が実に巧妙で、誘拐話もやはり作り話なのかと視聴者に疑いの目を向けさせるストーリーテリングは見事だ。
誰を信じて良いのか分からない。これぞサスペンスの王道だろう。
物語の途中で主人公に惹かれる新米警官が先輩から公私混同するなと釘を挿されるのだが、その際に「彼女が欲しければ消防士になれ」と皮肉を言われている。
消防士はアメリカでは女性にとっては恋人にしたい職業No.1なのである。
毎年マッチョな消防士のマッチョな肢体を撮影したカレンダーが飛ぶように売れているとか。
アメリカの女性にとって消防士はセックスシンボルなのである。
ジルは妹を誘拐したという犯人を追うのだが、犯人は実在するのか、はたまた彼女の妄想なのか、中盤までは息を抜けない孤独な追跡劇が続く。
犯人の正体を語るのは野暮天なので観てからのお楽しみ!
(青森 学)