◆悪趣味らしさが高まったどころかB級レベルもアップしてしまった(80点)
死の運命に翻弄された挙句にショッキングな死を遂げてしまう若者たちの姿を描いた人気ホラーのシリーズ第四弾。しかも、今回は現在流行中のデジタル3Dバージョン。監督は、第二弾『デッドコースター』を手懸けたデヴィッド・R・エリスが登板。
ニック(ボビー・カンポ)とローリ(シャンテル・ヴァンサンテ)の大学生カップルは、友人のジャネット(ヘイリー・ウェブ)とハント(ニック・ザーノ)のカップルとサーキット場でのカーレース見物ダブルデートを楽しんでいた。レースが最高潮に達したとき、ニックはレースカーがクラッシュして大炎上し、サーキット場が大惨事になるという予知夢を見る。その予知夢は現実化し、ニックら九名の人々はなんとか逃れられたものの、その後は予知夢で見た順番通りに次々と生存者がショッキングな怪死を遂げていく……。
このシリーズと言えば、悪趣味系作品の趣向が盛り込まれているが、今回はこれを一段と強化してシリーズ中最高のグロさを露呈してしまった。それは、死ぬ際に臓器や肉片がはっきりと観られることだ。悪趣味らしさが高まったどころかB級レベルもアップしてしまったのである。そこは、エリス監督がかつて手懸けた作品の中に飛行機内でヘビが大量発生するB級モンスター・パニック作品『スネーク・フライト』があったことを思うとこのB級らしさには納得できるし、この作品で発揮させたB級感覚を本作で活かせたのだと捉えることができる。エリス監督はスプラッター好きの期待に応えられるようなネタを用意して観る者に強烈な印象を与えることに成功したのである。
生存者たちが死ぬまでの描写はワンパターンだと思えるが、そこは細かいことを言わずに「またやってるな!」、「これがシリーズの持ち味」と思って観た方が良いと思う。本作も前三作に匹敵するような悲惨な死に様が描かれており、ハードな衝撃と後味の悪さ、スプラッター的な面白さを存分に味わえる。また、序盤で観られるサーキット場の事故やクライマックスで観られる映画館爆破も迫力満点で面白く、醍醐味が感じられる。
シリーズ初の3D作品ということであるが、3Dにしたことに間違いはなかったと言える。本シリーズはスクリーンを突き破るような勢いで壊れた物体等が飛んできて大写しになり、それを観てついつい身構えそうになったりといったスリルが味わえる。3Dにしたことによってこのスリル、迫力、恐ろしさをより一層味わえるようになったのである。
本作は死を描き続ける一方で「生きることの喜びと素晴らしさ」をこっそりと教えているのである。
三年おきに作られているこのシリーズ。三年後に第五弾が作られるとしたら、次はどんなモノを魅せてくれるのだろうか?!
(佐々木貴之)