ビューティフル - 福本次郎

映画はウスバルの苦悩を浮き彫りにすることで、思い通りにならい“人生”の真実に迫っていく。(点数 60点)


(C)2009 MENAGE ATROZ S. de R.L. de C.V., MOD PRODUCCIONES, S.L. and IKIRU FILMS S.L

世界は苦痛にあふれ、死の影が濃厚に付きまとう。意に沿わないハプ
ニングでイライラが募るなか、それでも主人公は己が生きた証を残そ
うと、気力を振り絞って関わった人々のために奔走する。血尿、失禁、
そして気を失うほどの痛み。もはや与えられた時間はあとわずか、彼
が最期の時を有意義なものにしようとする過程は無様でみじめで薄汚
く、むしろ意向とは逆の結果をもたらしたりする。物語はドラッグ・
離婚・不法就労といった現代欧州が抱える社会問題を背景に、少しで
も未来に希望をもたらそうとする男の姿を描く。

密入国者にヤミ仕事を斡旋しているウスバルは膀胱がんで余命2カ月を
宣告される。2人の子の将来を心配し、別れた妻と撚りを戻すが情緒不
安定な彼女は満足に子供の面倒を見られない。

力のない太陽、寒々とした空気、観光イメージとは正反対の冬のバル
セロナ、その情景はそのままウスバルの心を象徴しているよう。朝目
覚め、とりあえずまだ体が動くのを確認し、一日なんとか無事に過ご
そうとするが、さまざまなトラブルがウスバルに降りかかる。

彼は決して逃げずに対処に当たるが、状況を悪化させるばかりで決し
て解決には至らず、それどころか多くの人命を奪ってしまう。要する
にハタ迷惑なひとり相撲を取っているのだが、映画はウスバルの苦悩
を浮き彫りにすることで、思い通りにならい“人生”の真実に迫って
いく。

福本次郎

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