◆クールな印象を与える。(70点)
アメリカをはじめ、日本でも支持されている人気TVゲームをスタイリッシュな感覚で映像化させたアクション作品。
ある組織で幼少の頃から暗殺者としての訓練を受けていたエージェント47(ティモシー・オリファント)は、ロシアの政治家べリコフの暗殺依頼を請ける。彼が遂行したこのミッションは成功したかのように思えたが、実はべリコフは生きていることを組織から聞かされ、さらに娼婦ニカ(オルガ・キュリレンコ)に現場を目撃されたため、彼女を消すようにと伝えられる。やがて、エージェント47はこれが罠であったことを知るのだが・・・・・・。
製作にリュック・ベッソンとヴィン・ディーゼルが携わっている。主人公のエージェント47は、元々はヴィン・ディーゼルが演じることに決まっていたが、降板したため『ダイ・ハード4.0』(07)で敵役を演じたティモシー・オリファントが急遽登板した。エージェント47はスキンヘッドで、後頭部にはバーコードのタトゥーが掘り込まれているというまさに“バーコードハゲ”であり、黒いスーツに赤いネクタイというファッションで身を包む。これがクールな印象を与える。「アヴェマリア」をBGMにこのタトゥーが掘り込まれる冒頭シーンは神秘的とも思えるほどであり、忘れられない。
アクション映画ということで銃撃戦に爆破シーン、格闘シーンがお膳立てとして用意されているが、レベルは中級程度。深く言えばガンアクションであり、当然の如く銃撃戦が見せ場となる。これが勢いを感じさせる力強さと華麗な感覚で描かれていて面白く仕上がっている。エージェント47の二丁拳銃ならぬ“二丁小銃”姿もキマっていて実に格好良い。銃だけに留まらず、短刀も使いこなす。だが、これがまた二刀流であり、彼と同じようなスキンヘッドに二刀流の男三人組を相手に激しくバトルを繰り広げる姿は鮮烈な印象を残す。
ティモシー・オリファントはしっかりとアクションを頑張っており、見た目はヴィン・ディーゼルでアクションシーンはややパワーダウンした『トランスポーター』シリーズのジェイソン・ステイサムという感じだ。今後もこの調子でアクション映画に挑戦していただきたいと同時に様々なジャンルの作品でも活躍して役者としての幅を広げていただきたい。
それにしても本作はB級のイメージだけは否めない作品だ。
(佐々木貴之)