パーフェクト・ホスト - 福本次郎

意外性とユーモアのセンスに、Q.タランティーノに出会った時の衝撃を思い出した。(点数 50点)


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脅したつもりが脅される、人質を取ったつもりが人質にされている。
不運な犯罪者と妄想に取りつかれた変質者が織りなす意表を突いた展
開は、不思議の国に迷いこんだような戸惑いをもたらす。シュールで
奇妙、スタイリッシュでアンバランス、どこかボタンをかけ違えた感
覚が非常に新鮮だ。またコンビニ強盗に渡す紙幣を入れる袋の種類を
わざわざ尋ねたり、足の傷を治療するのかと思いきや床の血を拭うな
ど、ウイットに富んだやり取りが緊張をほぐす。その意外性とユーモ
アのセンスに、Q.タランティーノに出会った時の衝撃を思い出した。

逃走中の銀行強盗・ジョンは、高級住宅地のウォーウィックの家に転
がり込む。親切にもてなすウォーウィックにジョンはおとなしくして
いたが、ラジオ放送が原因でウォーウィックにナイフを突き付ける。

導入部、車と自転車を乗り継いで必死に走るジョンの息遣いが、観客
をただならぬ世界に引きずり込む。やっと招き入れられたウォーウィ
ックの家は高価な家具調度に囲まれ、彼の慇懃だが鼻につく態度はた
だものではない臭いを発散させている。

ジョンにとって異次元の上流階級の人間は、なかなか感情が読めない。
しかし見知らぬ自分を客として歓待してくれる。善人みたいだが腹に
一物抱えているようでもある。カメラはジョンの胸に交互に浮かぶ安
堵と不安を克明にとらえ、極限にまで膨らんだ彼のフラストレーショ
ンに思わず背筋が固まってしまった。

福本次郎

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