パーフェクト・センス - 佐々木貴之

従来の感染症をネタにしたパニック作品やホラー作品とは一線を画している(点数 70点)


(C)Sigma Films Limited/Zentropa Entertainments5 ApS/Subotica Ltd/BBC 2010

デヴィッド・マッケンジー監督が人類存亡の危機に直面した世界を舞台に、ある一組のカップルの恋の行方を描いた異色の恋愛ドラマは、詩的な作風と静謐なタッチの恋愛模様が際立つ。

嗅覚、味覚、聴覚などの五感が順に失われていく原因不明の病気が世界中で蔓延し、病名をSOSと名付けられた。そんな中、シェフのマイケル(ユアン・マクレガー)と科学者のスーザン(エヴァ・グリーン)が出会い、恋に落ちるのだが、二人は感染症の脅威から逃れることが出来ず…。

人類が味覚を喪失した中でも食を楽しめるための工夫をマイケルらシェフが腕を振るって作り上げていくシーン、耳が聞こえなくなっても手話でコミュニケーションを楽しむ人々…といった人々の身が危機に直面しても前向きに生きようとする姿は好印象であり、生きることへの希望とその素晴らしさが観る者に伝わってくる。

また、病気による人々のパニック状態も描き出され、観る者の度肝を抜かす。
味覚を失う前に度が過ぎた過食症を患ったかのようにあらゆる食物を食いまくり、味覚を失う前にやたらと暴れまわっては部屋中にある置物等を投げつけたりして荒し回わる。
街中では暴動が勃発し、人と人とが殴りあったり数名で一人の人間をボコボコにしたりという具合に傷つけあう。
その結果、大勢の人々が姿を消して荒れ果ててしまった廃れた街と化す。
でも、これらのシーンに全力を注いでその面白さを追求して全面に押し出していないのは、あくまでも人間ドラマや恋愛ドラマに重点を置いているからである。
この点に関しても、従来の感染症をネタにしたパニック作品やホラー作品とは一線を画していると思え、その異色さがユニークだと実感できる。

このような最悪な状況の中、男と女は如何にして愛し合うことができるのか?!ラストシーンのナレーションがひっそりと教えてくれるのだ!!

佐々木貴之

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