パーフェクト・ストレンジャー - 福本次郎

◆謎が謎を呼び、張り巡らせた伏線を糸口に主人公が事件を解決。そんなミステリーの定石を破ろうとするが、不安定な足場の上に乗せられたような違和感は終盤までぬぐいきれず、最後には足場ごとひっくり返すような暴挙に出る。(30点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 謎が謎を呼び、張り巡らせた伏線を糸口に主人公が事件を解決する。そんなミステリーの定石を破ろうとする試みは成功しているとは言いがたい。やはり観客が感情移入するのはこの映画の場合ヒロイン。なのに彼女自身が身分を偽装して他人を罠にかけたり、仕事上のパートナーを裏切ったりとまったく信用できない。かといって他の登場人物もどこか胡散臭く、すきあらば人を騙そうとしているような連中ばかり。不安定な足場の上に乗せられたような違和感は終盤までぬぐいきれず、最後には足場ごとひっくり返すような暴挙に出る。

 腕利き女性記者のロウィーナは幼馴染みが殺された事件を調査するうちに、広告代理店の社長・ハリソンに犯人の目星をつける。パートナーのマイルズの協力でハリソンの会社に職を得た彼女はハリソンに近づいていく。

 もともとロウィーナはスクープをものにするのに手段を選ばないタイプで、裏切りやだまし討ちなど日常茶飯。それは私生活にも及び、他人のボーイフレンドを奪ったりもする。仲間のマイルズはロウィーナに気があるのに、ロウィーナは彼を利用するだけでいつもはぐらかす。またハリソンも一皮向けば女好きがとまらない。誰もが怪しげで、ロウィーナとハリソンがネット上のチャットで駆け引きするところがリアルだ。相手の想像を刺激し、何とか興味を持たせてデートに持っていこうとする。そこにマイルズが他人になり済ましてチャットをコントロールしたりと、ネット恋愛のウラに潜む落とし穴がよく描けていた。

 結局、ハリソンは逮捕され有罪。しかしそれはすべてロウィーナの仕組んだ罠で、彼女こそ殺人犯だったというオチだ。しかし、物語を綴る上でこの人物配置はまったくいびつ。真犯人にたどり着くためには善意の第三者を仕立てるべきで、せめてマイルズを語り部にしておけばこのような破綻は起きなかったはず。ミステリーとサスペンスにハイテク犯罪を絡ませて現代性を出そうとする意図は理解できるが、結果は的外れだった。

福本次郎

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