パレード - 佐々木貴之

◆最後の最後に観る者をあっと驚かせてくれる(60点)

 吉田修一の山本周五郎賞受賞作である同名小説を行定勲が映像化した青春群像ドラマ。

 映画会社勤務の直輝(藤原竜也)、イラストレーター志望の雑貨店々員の未来(香里奈)、フリーターの琴美(貫地谷しほり)、大学生の良介(小出恵介)は、2LDKのマンションで共同生活を送っていた。町では女性を狙った連続暴行事件が発生し、そんな時に四人が住む部屋に男娼のサトル(林遣都)が突然現れ、何かが変化し始めるが……。

 友人でも知り合いでもない五人の若者は表面的な人間関係に満足し、怠惰なルームシェア生活を続ける。生活感があまり感じられない様子を巧く演出し、静かなタッチで淡々と描かれている。そして、若者ならではの不安や焦りといった内面をしっかりと浮き彫りにして魅せる。

 地味でダラダラとしただけのドラマのように思えるが、決してそうではないと言える。登場人物の会話からは所々で笑えるモノがあり、これが功を奏でていると言い切れる。その笑いは、決してコメディー・テイストを追求したモノではなく、あくまでも自然体で成り立っている。

 また、劇中での暴行事件も気掛かりであるが、これを強調することをせず、あくまでも共同生活者四人+途中参加者サトルの日々の行動をメインに描き、クライマックスで唐突に暴行事件の真相が明かされ、最後の最後に観る者をあっと驚かせてくれる。

佐々木貴之

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