パリ20区、僕たちのクラス - 佐々木貴之

◆ドキュメンタリータッチで描いたことによって観る者にドラマであることを忘れさせ、作品の世界へと没頭させる(70点)

 08年度カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得したローラン・カンテ監督・脚本の人間ドラマ。

 フランスはパリ20区にある中学校に赴任して四年目となる国語教師フランソワ(フランソワ・べゴドー)は新学期に様々な人種で形成された24人の生徒を迎え、彼らの担任になる。フランソワは彼らに正しいフランス語を教えようとするが、生徒たちは反発する。クラスは様々な問題が生じていくが、フランソワはそれでも生徒たちを教えようと奮闘し、真剣に議論を重ねていくが……。

 本作の大きな特徴は、24人の生徒に演技経験ナシの素人を起用したことであり、これが功を奏した。子供たちの演技は芝居っぽさを感じさせず、自然体なのである。さらにドキュメンタリータッチで描いたことによって観る者にドラマであることを忘れさせ、作品の世界へと没頭させる。また、フランソワ役のフランソワ・べゴドーは、実際に国語教師に従事していた元教師だ。彼は実体験を基に本作の原作「教室へ」を執筆したのである。そんなリアリティーを追求した作風が観る者を惹きつけるのである。

 そして、劇中で観られるクラスでの問題もウソっぽさを感じさせず、ホンモノらしく描かれている。フランソワの同僚教師が問題児を抱えたクラスに苦悩し、怒りを露にして落胆する様子は、教育現場の大変さを観る者に実感させる印象深いシーンだ。

 日本とフランスの学校の違いも観られるので、注目して頂きたい。

佐々木貴之

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