19世紀当時のイギリスの時代背景が丁寧に描かれているのが素晴らしい(点数 55点)
(C)2010 Burke & Hare Films Limited and Entertainment Film Distribution Limited
イギリスのエジンバラで1827年から約1年間かけて起きたウェストポート連続殺人事件を題材にしたサスペンス・コメディーで、監督はジョン・ランディス。
お金に困っているバーク(サイモン・ペッグ)とヘア(アンディ・サーキス)は露店でニセ薬を販売していたが、インチキがバレて稼げなくなってしまう。ある日、ヘアの家の下宿人が家賃を滞納したまま死亡。
死体の処理に困ったバークとヘアは、解剖用の遺体を買い取っているノックス博士(トム・ウィルキンソン)の噂を聞いて彼のもとに遺体を持ち込んで5ポンドを獲得する。
これに味を占めた2人は遺体入手のために武器を持ち出して街へ繰り出すのであった……。
実話をもとにブラックなギャグを散りばめて面白おかしく描いたことによって観易くなった本作。
また、切断された足をはじめとする少しグロテスクなシーンも用意されていて印象深い。
結果的にはかつての実際の出来事を若干だけ不謹慎に描いた作品となってしまった。
これに対して良いイメージを抱かない者もいらっしゃると思うが、笑える描写や印象深いシーンを用意して現代の人々が親しみやすくて興味をそそるような作風で過去の出来事を伝えようとしているのは、良いかもしれない。
本作はちょっとオフザケ感のある作品ではあるものの、それとは裏腹に19世紀当時のイギリスの時代背景が丁寧に描かれているのが素晴らしいため、コメディー描写を排してサスペンスをメインにリアリティーを追求した作品にした方が上品で見応えがあっただろう。
でも、ブラックユーモアを取り入れつつも度が過ぎたおバカさを追求したりすることなく平均的な笑いを追求したコメディー作品として仕上がっているため、個人的には悪い印象は感じないし、素直に面白さを満喫できた。
ウェストポート連続殺人事件に興味を抱いた方は、事前に下調べしてから本作をクスクス笑って楽しむと良いだろう…。
(佐々木貴之)