ワケが分からない(30点)
パン兄弟の「レイン」をセルフ・リメイクしたものだが、オリジナルよりアクション重視の作品となった。引退を考えている凄腕の殺し屋ジョーは、バンコクで最後の仕事である4件の殺しを請け負うが、ひとつの迷いが彼の人生を変えていく。冒頭からジョーが自らに課すルールが紹介されるが、そのルールがいともあっさりと破られ続ける展開に唖然。ついていけない…と思った頃に思い出したようにルールを復唱し観客をスベらせる。他人とかかわらないと言ったその舌の根も乾かぬうちにカタギの女性とつきあったり、通訳に情をかけたりと、ワケが分からない。こんなにプロ意識の乏しい殺し屋がいたもんだろうか。バンコクの街を疾走する、バイクや水上ボートでのアクション・シーンはなかなか見応えがある。主人公の行動に説得力がない分、猥雑な街の空気が主役になった。
(渡まち子)