◆先が気になってやまないサスペンスタッチのストーリー(85点)
1959年、アメリカはマサチューセッツ州にある小学校で子供たちは創立記念日の式典で未来を予想した絵を描き、これをタイムカプセルの中に入れて校内の地面に埋め込んだ。五十年後の創立記念日にタイムカプセルが発掘され、宇宙物理学専門の大学教授ジョン(ニコラス・ケイジ)の息子ケレイブ(チャンドラー・カンタベリー)が絵画を持ち帰るが、これが絵ではなく、無数の数字が羅列された奇妙なメモだった。ジョンはこれに興味を示し、 “299691101”という数字に目を留める。ネットで調べたところ、この数字は9・11世界同時多発テロの日付と2996人の犠牲者であることに気づき、記載されている他の数字を調べると、妻が死んだ原因であるホテル火災事件も浮上してきた。そして、これらの数字が過去の大惨事とこの先に起こる大惨事を予知するものだと気づくのだが……。
アレックス・プロイヤス監督のディザスター超大作は、様々なジャンルの要素が取り入れられており、映像面でも凄まじい魅力を発揮させており、先が気になってやまないサスペンスタッチのストーリー展開で観る者をグイグイと引き込み、存分に楽しませてくれる。
見所は、やはり大掛かりな見せ場だ。まずは、飛行機の墜落シーンだ。斜めに傾いた大きな飛行機がスクリーンを突き破るかのような勢いで迫ってくる。観る者に体感させようとしている感じであり、この迫力に圧倒させられることは間違いなしだと言いたい。墜落後は大爆破!! 火だるまになった乗客たちが続々と現れ、さらに驚愕させられる。その次は、地下鉄の電車事故シーンだ。電車が猛スピードで暴走し、構内の人々を飲み込むかの如く次々と引き殺してしまう。この二つの見せ場がパニックアクションとしての威力を最大限に発揮しており、大作映画らしい醍醐味を存分に味わえる。その一方で事故の恐ろしさ、悲惨さもしっかりと感じさせる。
ジョンとケレイブが50年前に数字のメモを書いたルシンダの娘ダイアナとアビーに面会し、太陽のフレアの影響による地球滅亡が直前に迫っている中でも四人で奔走する。ここで親が子に対する愛情を浮き彫りにさせた家族ドラマ的な面白さが観られる。最後には謎と謎が結びつき、さらにクライマックスに相応しい大掛かりなシーンとファンタジックな映像を魅せつけて幕を閉じる。
本作こそ夏休み映画の超大作に相応しい内容だ。
(佐々木貴之)