ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 - 樺沢 紫苑

あなたは、父親のことをどこまで知っていますか?(点数 90点)


(C)2013 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

アカデミー賞6部門ノミネートの
『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』を
3つのポイントで解説します。

一つ目のポイントは「意外と知らない」。

頑固者の父親と、そんな父とは距離を置いて生きてきた息子が、
旅を通して心を通わせていくロードムービー。

監督は、『ファミリー・ツリー』『サイドウェイ』の
アレクサンダー・ペイン、私の大好きな監督です。

アレクサンダー・ペイン作品にハズレなし!
と思っているのですが、本作は『サイドウェイ』の
ロードムービー的なおもしろさと、
『ファミリー・ツリー』の家族の修復の物語という、
2作品の良さを足して2で割ったような作品になっています。

「100万ドルの賞金が当たった」勘違いする父と、
それにつきあいしょうがなく旅に出る息子。

頑固な父と平凡な販売員の息子。
父親は酒に溺れたイメージしかないデイビッドにとって、
父に良いイメージはありませんが、
途中訪れた父の故郷で、父の意外な過去が明らかになっていきます。

自分は、父親の一面しか知らなかった。
徐々にデイビッドの父親を見る目が変わってきます。

二つ目のポイントは「一緒に過ごす時間」。

この映画のテーマは、父と子の関係回復の物語。
そこで重要になるのは、「一緒に過ごす時間」です。

2人は車で数百キロの大ドライブをしながら、
数日間を一緒に過ごします。

そうなると、相手の短所も長所もたくさん見えてくる。
そして、お互いの関係性が急速に深まっていきます。

家族はいつも一緒にいると思ったら、それは大間違い。
それは、子供が小さい時くらいで、大人になると、
一緒にすごせる時間は、ドンドン減っていきます。

さらに、映画の後半では、母と兄もドライブに加わり、
親子四人揃ってドライブすることになる。

家族四人が集まるというのは、実は当たり前のようでいて、
それが実は当たり前ではない。

映画の最初から、気難しい小言や文句ばかりを言い合ってきた
4人全員が、笑顔を見せるシーンは、
「家族のまとまり」を見事に表現していて、心が和みます。

三つ目のポイントは「本当に欲しいものは、意外に手に入る」。
あなたは、1億円の宝くじがあたったら、どうしますか? 

父ウディは、100万ドルが当たったら、
「新しいトラック」と「空気圧縮機」が欲しいと言います。

それほど凄い夢でもない。
本気になれば、どちらもすぐに手に入るもの。

私たちは、本当に欲しいもが何かわかっていないし、
本当に欲しいものは本気になれば、意外に簡単に
手に入るのではないか・・・。

そして、お金では手に入らない、
もっとも大切なものがあるってことも。

年をとるほどに子供は大きくなって、
家族の結びつきは希薄になるかもしれませんが、
年をとったからこそ初めて理解し合える「家族」というのもある。

そんな「家族の結びつき」「家族の絆」を考えさせられる、
深い映画です。

樺沢 紫苑

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