ニュームーン/トワイライト・サーガ - 小梶勝男

◆「トワイライト~初恋~」の続編。基本的にはラブ・ロマンスで、アクションやホラーの要素はスパイスに過ぎない。延々と恋に悩む女子高生は十分に描かれているが、それ以上のものはない(62点)

 学園ラブ・ロマンスが60%、アクションが30%、ホラーが10%ぐらいの配分だった前作「トワイライト~初恋~」に比べ、続編の本作は、「学園」がとれてラブ・ロマンスが80%、アクションは18%、ホラーが2%くらいの配分になってしまった。まあだいたいの印象ではあるが。従って、アクションやホラーを期待して見るとガッカリするかも知れない。それらの要素は、作品中にも出てくる「ロミオとジュリエット」のような「一緒になりたいけどなれない」という古典的ロマンスのスパイスにしか過ぎない。

 前作で恋人同士になった女子高生ベラ(クリステン・スチュワート)と吸血鬼のエドワード(ロバート・パティンソン)だが、やっぱり人間とヴァンパイアは一緒になれないということで、エドワードは一家で姿を消してしまう。傷心のベラを、幼馴染のジェイコブ(テイラー・ロートナー)が慰めるが、彼もまた狼人間だった。

 吸血鬼は年をとらないため、自分だけ老いていくのを怖れたベラは、エドワードに噛まれて吸血鬼になりたいと願う。「妖怪人間ベム」のベラは「早く人間になりたい」と言っていたのに、わざわざ人間から吸血鬼になろうとするのである。だが、この辺りが女子高生の共感を得るポイントかも知れない。多くの女子高生にとっては、若さこそ全て。年をとって大人になりたくないという気持ちは女子高生に共通するものだろう。

 それだけではなく、本作は徹底的に女子高生向けに作られている。吸血鬼のエドワードは金持ち&白塗り貴族の王子様キャラ(顔は凶悪だが)で、狼男のジェイコブはすぐに裸になる筋肉&日焼けワイルドの肉体派キャラ。タイプの違う両方にベラは惚れられる。これも、女子高生の妄想なのかも知れない。

 いろいろあって、エドワードとベラはイタリアで再会する。そこにはメディチ家を思わせる吸血鬼の最大勢力ヴォルトゥーリー族がいた。ヴォルトゥーリー族の一人をダコタ・ファニングが演じており、真っ赤な瞳でなかなか存在感はあるが、最後の方にちょっと出てくるだけだ。本格的に活躍するのは次回作以降になると思われる。

 監督のクリス・ワイツは「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の人。演出は手堅いし、ポイントは外さないが、それ以上のものはない。女子高生が延々と恋に悩む姿は十分に描かれているが、悲劇として昇華されないのは残念だ。今後、ヴォルトゥーリー族や人狼族との対立が描かれれば、もっと面白くなるのかも知れない。

小梶勝男

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