ニューイヤーズ・イブ - 山口拓朗

ニューイヤーというのは、万人に平等に希望の光を注いでくれる魔法なのだ。(点数 70点)


(C)2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

大晦日のニューヨークを舞台に、妊婦が、末期がんの老人が、ロックスターが、15歳の少女が、レコード会社の御曹司が、自転車便の配達係が、腕利きの女性シェフが、引きこもりのコミック画家が、タイムズスクエアの副会長……等々が、東奔西走する群像エンタテインメント。喜怒哀楽を詰め込んだ、総勢18人のエピソードがランダムに描かれていく。

ある者は夢をつかむために、ある者は絆を取り戻そうと、ある者は恋を成就させるために、ある者は過去を清算しようと、ラストチャンスに懸ける。なぜ、ラストチャンスなのか? それは、今日が1年で最後の日、そう、大晦日だからだ。期限が区切られていると行動を起こす。それが人間という生き物だ。しかも、除夜の鐘を聞きながらしんみりと迎える日本の大晦日と違い、アメリカのそれは――タイムズスクエアの活況が示すように――派手に祝福する文化がある。踏ん切りを付けるにはうってつけなのだ。

ほほ笑ましかったのは、何ひとつ達成できていない「今年の目標リスト」を、残りわずか半日で達成しようとする女性重役秘書のエピソードだ。大晦日が備える“馬力”は、彼女のエピソードに集約されている。それまで封印されていた「勇気」と「決断力」が解き放たれ、彼女は水を得た魚のように泳ぎ続ける(行動し続ける)。

失敗が許される免罪符的な1日でもある。なぜなら、万が一、行動を起こした結果、不本意な出来事が待ち受けていたとしても、それは今日までの話にすぎない。時計の針が0時を回れば、あらゆる人生のリセットボタンが押されるのだ。つまり、ニューイヤーというのは、万人に平等に希望の光を注いでくれる魔法なのだ。

ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリーらオスカー受賞者を筆頭に、サラ・ジェシカ・パーカー、ミッシェル・ファイファー、ザック・エフロン、アシュトン・カッチャー、アビゲイル・ブレスリン、キャサリン・ハイグルなど、“豪華キャストのフルコース”ともいえる競演は、映画好きであるほどゾクゾクするはずだ。

監督は『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャル。ご都合主義的な展開も少なくないが、つまらぬアラを指摘する作品ではない。大事なのは、リアリティうんぬんではなく、一つひとつのエピソードのなかに、琴線に触れるメッセージがあるということ。ほっこりと優しい気分になれる1本だ。

山口拓朗

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